コロナ禍で多くの制限が出ていた2020年。モータースポーツもその例に漏れず、大きく運営形態を変更してきた。そんななか、日本最大のレースカテゴリーであるスーパーGT、その下位クラスとなるGT300でひとつの快挙があった。
それが参戦2年目のKONDOレーシング56号車「リアライズ日産自動車大学校GT-R」。実はこのマシンには日産グループから大きな使命が与えられていたという。
ボディに大きく書かれた「日産メカニックチャレンジ」とはいったい何者なのか。優勝報告会の様子と共にお伝えしよう。
文、写真/ベストカー編集部
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■参戦2年目で王座戴冠!! 日産メカニックチャレンジとして初の快挙
スーパーGT、GT300でチャンピオンを獲得した56号車「リアライズ日産自動車大学校GT-R」のメンバーが、2020年12月20日に日産自動車本社で優勝報告会を実施した。
この56号車は単なるレーシングチームではなく「日産メカニックチャレンジ」という活動の場になっている。「日産メカニックチャレンジ」は日産系列の整備士を養成する日産・自動車大学校の学生と、全国の日産販売会社のディーラーメカニックを対象にしたプログラムだ。
スーパーGTの現場で学生はディーラーメカニックからプロの動作を学び、ディーラーメカニックは「速さと安全」を両立する極限の状況で戦うレースメカニックから新しい発見をするというもの。まさに一気通貫というもので、日産自動車も含めて新たなフィールドで整備士養成をしているのだ。
そんなプロジェクトを母体に持つ56号車。近年競争の激しいGT300クラスで参戦2年目でシリーズチャンピオンを獲得したのは快挙ともいえるだろう。今シーズンの優勝の立役者であるレーシングドライバーのJPオリベイラ、藤波清斗の両ドライバーがシーズンを振り返った。
「僕は第7戦がすごく印象に残っているんだ。というのもグッドスマイルの谷口信輝選手との手に汗握る戦いだったね。経験豊富な谷口選手との駆け引きはとっても刺激的だったしクリーンなレースをできたことは嬉しかった」とオリベイラは語った。
サイドバイサイドで時にはマシンをぶつけ合いながら戦ったあの走りは、ファンの記憶にも残るレースだった。いっぽう、ビッグカテゴリー初王座の藤波はこう振り返る。
「レースがいつ始まるのか、本当に2020年はGTができるのかという想いが強かったんです。モチベーションを保つことが難しい時もありましたし、開幕戦などは無観客でファンの皆さんの声援もなかったですからね。でもお客さんが戻った5戦目で優勝できたというのはとても嬉しかったです」。
苦労人でもある藤波にとって、GT300王者は今後の彼のキャリアを左右する大きな成績になった。絶対にミスをしない、という強い信念を持ち続けていた藤波は実際にクラッシュなどもなくシーズンを終えた。これまでクラッシュが多かった印象だったがすっかり成長し、圧倒的な安心感をもたらせてくれた。
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