■「気持ちはわかる」
オフィシャルポイントでチームに連絡を入れ、クルマを引っ張る手はずなど打ち合わせ。オフシャルの皆さん、落っこちてシクシクしているドライバーにやさしく、コーヒーまで出していただく。ここのチーフは女性。自動車部出身なのか、とってもキビキビした対応でした。そうこうしてるうち、早くもレッカー車が到着したという。
チーフに頼むとコース逆走通告をしてくれ、落ちた現場まで行くクルマ(ドクターカーでした)の手配も。何から何までありがとうございます! 落ちた場所まで狭くて曲がりくねった林道を走る。こんな道をあんな速度で走っていたのかと思うと、我ながら感心するばかり。すでにレッカー屋さんが作業完了しており、道路に出ている!
このレッカー屋さん、愛知県じゃ相当有名な人らしく、元走り屋だったそうな。山の中に落ちたクルマを引っ張り上げるのは通常業務ですよ、という。「このくらいの落ち方なら余裕!」。メチャクチャ上手! 落ちた状態からボディ面に全くキズを付けることなく引っ張り上げてくれました。いやいや! どこの世界にもプロがいますね!
ここでもオフィシャルの皆さんにやさしく接していただき、スープや美味しいスモークチーズまで御馳走になる。コースアウトしたのは2002年の初ラリーと、2013年のタイだけ。その時も親切にしてもらったのを思い出す。元気よく走ってゴールするラリーとまったく違うラリーを久し振りに味わいました。そうこうしているウチにチーム員が到着。
冷たい目で見られるかと思いきや、これまた「この程度のダメージなんか気にすることないです。ケガがなくてよかったです!」。
とはいえ落ち込みますね~。WRCにも出場できるR3カテゴリーの新車86を「つぅるん」と落としちゃいましたから。ル・マンでクラッシュすると、ピットに戻らずその場から逃げ出すドライバーもいるという。気持ちはわかる。
■「これもラリーだよ」
サービスパークで監督やサービスの皆さんの状況説明。あらためて多くの人たちがクルマを走らせるため来てくれているんだと考え直す。どんな競技でもそうだけれど、チームの皆さんやオフィシャルの皆さんなど、たくさんの人が選手を走らせてくれているんだと実感しました。調子がいいときはあまり考えないんですね。いい経験になりました。
幸い車両のダメージは最小限。左フロントのロワアームとダンパーくらい。3日間あるようなWRCなら翌日スーパーラリーで再出走できるレベルでした。加えて多くの人から「これもラリーだよ」とか「オレなんかもっとスゴイのを何度もやったよ」と慰められ、少し元気が出てきた次第。とりあえずしばらく落ち込むことにします。
クラッシュしたドライバーは、WRCの勝田選手も、F1の角田選手も、こういった気分を味わっていると思う。競技観戦の時にそんなことを考えるのも一興かと。ちなみに元F1ドライバーのコバライネン選手は私と同じ86のR3に乗っているのだけれど、やっぱりメチャクチャ速い! この件はじっくり紹介&分析してみたい。
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