F1規制の抜け穴。ブラウンGPのダブルディフューザーはOKで、 なぜBAR ホンダの燃料タンクは不正となったのか?

不正は見つからない……奢りはここにあった

 問題のサンマリノグランプリ前のレースでFIAはレース後車検で燃料タンク内の検査をやっていたが、何の通達もなく終わっていた。面白いのはこの検査後、他の3チーム程が燃料タンクの改造を行ったこと。つまり似たような抜け穴を他チームも使っていた可能性が高いのだ。そしてどのチームも澄まし顔でサンマリノグランプリに挑んだ、BARホンダを除いて。

 BARホンダは抜け穴を見つけることがアドバンテージを得る最良の方法と考え、そして不正は見つからない……実にクレバーであるという奢りがあったのだ。その結果、ポイント剥奪や出場停止という惨めな結果を招いてしまった。

 抜け穴を見つけるには二つの道がある。正規の技術進歩かインチキか。もちろん現在でも多くの抜け穴探しが横行しているが、元BARのその哲学は今でも強く残っている、ただし技術進歩の側で。

 さて、2022年はどんな抜け穴をF1エンジニアリングは見せてくれるのだろうか。

【画像ギャラリー】レギュレーションを上手く解釈しダブルディフューザーを生み出したブラウンGP。圧倒的すぎた速さを写真で振り返る(5枚)画像ギャラリー

津川哲夫
 1949年生まれ、東京都出身。1976年に日本初開催となった富士スピードウェイでのF1を観戦。そして、F1メカニックを志し、単身渡英。
 1978年にはサーティスのメカニックとなり、以後数々のチームを渡り歩いた。ベネトン在籍時代の1990年をもってF1メカニックを引退。日本人F1メカニックのパイオニアとして道を切り開いた。
 F1メカニック引退後は、F1ジャーナリストに転身。各種メディアを通じてF1の魅力を発信している。ブログ「哲じいの車輪くらぶ」、 YouTubeチャンネル「津川哲夫のF1グランプリボーイズ」などがある。
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