■モータースポーツで活躍するハイブリッド技術
さらにトヨタにとって素晴らしい追い風も吹く。今シーズンからWRCのトップカテゴリーとなる『ラリー1』クラスにハイブリッドが義務付けられたのだった。
説明するまでもなく欧州ではモータースポーツも二酸化炭素の排出量を削減しようという動きになっている。すでにF1を始めル・マン24時間に代表されるWECなど、燃料を効率良く使うべくハイブリッドを導入済み。
とはいえハイブリッドを使っているイメージは薄かったように思う。しかしWRCのハイブリッド導入、F1やWECと少しばかり違う効果を出すかもしれない。
というのも「欧州でクルマを売るならWRCに代表されるラリーが最も効果的」と言われる通り、ラリーは消費者に与える効果大きいからだ。
そもそもF1やWECは市販車と全く違う車両で競われるし、採用されているハイブリッドシステムも複雑。正直な話、どうなってるのか解らない。WRCに導入されたハイブリッドはシンプル。ポン付けしているだけなのだった。
ラリー1で採用しているのは全てコンパクトダイナミクス社(独)が開発したシステムで、3.9kWhの電池と136馬力のモーターを組み合わせている。
モーター出力でハリアーハイブリッドなどと同等レベル。搭載してる電池容量は4倍といったイメージ。スペシャルステージでの燃費を改善させつつ、絶対的な性能も上げようという狙い。サービスパークではEVモードで走る規則。
ちなみに今まではサービスパークに大きなエンジン音を出しながら入ってきたが、今シーズンから無音。いつか誰か轢かれる(笑)と話題になっているほど。いっそ日本のように幽霊音を入れるか?
閑話休題。WRCにハイブリッドが採用されたという話、予想外に広まっている。欧州だとWRCってサッカーくらいの人気。皆さんドライバーやチーム、車両レギュレーションに詳しい。
先日WRCポルトガルを取材したが、ラリーファンの皆さんはハイブリッド技術を「燃費改善しつつ動力性能も追求出来る。クルマの楽しさは変わらない」みたいに理解しているようなのだった。
ハイブリッド技術を市販車に採用しているトヨタの評価、今年に入って一段と高くなってます。カーボンニュートラル実現までの過渡期はハイブリッドが良い仕事をするかもしれない。
追記しておくと、WRCのラリー1クラスはハイブリッドの他、P1燃料(100%カーボンニュートラルの合成燃料)を使うようになった。
すでにカーボンニュートラルを実現しているワケ。今後P1燃料の価格がリッター1000円くらいまで下がってきたら、トップカテゴリーのラリー1だけでなく、市販車エンジン&車両ベースのクラスもカーボンニュートラルを実現出来るだろう。
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