■スポーツモデルはどうなる?
SDGsの時代になってもクルマの華であるスポーツモデルは欠かせない。超低燃費型ハイブリッドを大量に持つトヨタは企業平均燃費で有利で、他社よりもスポーツモデルを作れる余地が大きい。
現状、発売が予定されているスポーツモデルは以下のとおりだ。レクサスIS F&LS F(今年末~2022年)、新型86(2022年1月)、カローラスポーツGTMN(2022年7月)、GRハイパースポーツ第2弾(2023年)、スープラGRMN(2023年)。意外なことにハイブリッドはGRハイパースポーツしかない。
なかでもベストカーが注目したいのはカローラスポーツGRMNで、GRヤリスの直3、1.6Lターボエンジンを搭載する4WDスポーツだ。
GRヤリスは3ドアで室内が狭い、走りに特化したラリーベース車だが、こちらは5ドアで実用性も充分。それでいてあの爽快な走りが楽しめるのだから価値は高い。
また、レクサスISとLSに「F」が計画されており、早ければ今年中にデビューするとの情報もある。ISは米国仕様の「Fスポーツパフォーマンス」に搭載されているV8、5L NA、LSは新開発のV6、4Lツインターボが有力。IS Fは481ps、LS Fはなんと660psになるという。
2022年は新型86、2023年はスープラGRMNという大物もスタンバイ。純ガソリンエンジン車の最後を飾るにふさわしいクルマが出番を待っている。
■これからのEV戦略はどうなる?
この先の新車戦略を語る時、どのメーカーであってもEVの話題は避けられない。トヨタももちろん着実にEV戦略を進めている。
近いところでは、今年中に米国で2車種のEV(+1車種のPHV)を発売すると発表しているほか、4月下旬の上海モーターショーでe-TNGAを使ったスバルとの共同開発によるCセグメントのEVを公開することもアナウンスしている。
米国のEVは中国で販売しているC-HRのEV版(中国名IZOA)が有力で、もうひとつはカローラクラスの新型EVという情報。上海モーターショーで公開されるEVは2022年には日本でもデビューすることになりそうだ。
EV専用プラットフォームのe-TNGAは汎用性が高く、C~Dセグメントに対応。ホイールベースの伸縮が可能で、ボディを替えることでさまざまなカテゴリーのクルマを作ることができる。
第1弾はSUVタイプだが、次期型は現行1.8Lハイブリッドのキャリーオーバーとなるプリウスも、e-TNGAを使ったEVが遅れて追加される可能性もあるだろう。
トヨタは2030年までに世界で100万台以上のEVとFCVを販売する目標を掲げている。2020年代前半には技術的ブレークスルーとなる全個体電池を実用化するとも明言しており、ここから一気に進んでいくことになりそうだ。
ただし、パワーユニットは仕向地別に最適なものを選んでいくというスタンスは変わらず、これからもトヨタは全方位戦略を推し進めることになる。
それは、すべてのパワーユニットを揃えるトヨタにしかできない戦略でもある。
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