■新技術の投入こそクラウンの伝統
さて、FF化の決断を下す次期クラウンだが、ではどんなパワーユニットが搭載されるのか。これはGA-Kプラットフォームを採用するカムリとレクサスESに準じると考えるのが自然だろう。
すなわち横置き直4、2.5Lのハイブリッドで、現行型にラインナップされる直4、2LガソリンターボとV6、3.5Lハイブリッドは消滅となる可能性が高い。
ただし、これではクラウンとカムリの差別化が難しく、また、トヨタの金看板であるクラウンがカムリの兄弟車のようなポジションになるのは許されないという社内の空気もあるだろうし、もちろんユーザーの思いもある。
ここから先は確定的な情報ではなくベストカーの推測となるが、だからこそ、SUVタイプへの大変身が計画されているのではないだろうか。
つまり、クラウンを時代に合わせてアップデートさせるということ。RAV4のような本格的なSUVではなく、ハリアーのような都会派SUVか、もしくはアウディのオールロードクワトロやベンツのオールテレインのようなワゴンタイプのクロスオーバーも考えられる。
このあたりはまだ推測の域を出ないが、トヨタが「新時代のクラウン」を本気で模索しているのは確か。
クラウンといえば、古くは7代目のスーパーチャージャーエンジンや8代目のトラクションコントロールシステム、13代目のギア可変ステアリングやナイトビューなど、新しい技術を積極的に投入してきたクルマでもあり、それはトヨタの意地と誇りでもある。
次期モデルもFF化して、どんなボディタイプを採用するにしても必ずや新たな技術を採用してくるだろう。
自動運転系の新システムか、あるいはパワーユニットや駆動系の新技術か。そうした新時代の新しい技術なら、セダンのままでも「新しいクラウン」をアピールできる。
■一気にFCV化の可能性もある?
いずれにせよ、次期クラウンはこれまでの長い歴史を一変させる衝撃的なモデルチェンジになることは確実だが、さらにもうひとつ、スクープ班には重要な情報が入っているのだ。
「MIRAIのプラットフォームを使った次期クラウンも計画されています」というのがその重要情報。すなわち燃料電池(FCV)に生まれ変わるということだ。
実は、これはそう難しい話ではない。
MIRAIは「このままクラウンとして出したほうがいい」と言うジャーナリストが続出するほど高級感たっぷりの乗り味を実現しており、しかも後輪駆動とあって、新しいクラウンに最適なベースモデルなのだ。
中身はこのままで、デザインに「クラウンらしさ」を加えるだけで成立すると言っても過言ではない。
1955年以来続くFRの歴史を捨ててFF化するより、ユーザーも納得しやすい変身かもしれない。
問題はやはり水素ステーションの少なさとまだ量産が難しいということで、数が減ったとはいえ、今も国産セダンのセールスリーダーであるクラウンをFCVにするのが正しいか否かは意見が分かれるところだろう。
とはいえ、その選択肢があり、社内で議論もされているのだから可能性は高い。
もし実現した場合、「SUVタイプのハイブリッドはFF、セダンタイプのFCVはFR」という新しいクラウンが誕生するのかもしれない。
まだ謎の多い次期クラウンの動向だが、トヨタがどう決断するにせよ、今年で66年目という、これまでの歴史の流れが一度止められることは確かだ。
勿論その決断には賛否両論噴出するだろうし、いくら時代が変わったと言っても、過去と決別することが100%の正解ともかぎらない。
だが、トヨタが「伝統のクラウンのこれから」に強い問題意識を持っていて、「継続するために必要な改革」を考えているのは明白。
次期モデルがどういうクルマになるにしても、トヨタはクラウンをとても大切にしていることは間違いない。
デビューは2023年が有力だ。
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