■e-スマートハイブリッド搭載車の燃費は27.0km/L
e-スマートハイブリッドのWLTCモード燃費は、27.0km/L。ガソリンエンジンでは、2WD仕様を1Lターボから1.2Lに変更した点が注目される。変更の目的はWLTCモード燃費の向上で、従来型の1Lターボでは、2WDの数値が18.6km/Lだった。それが新しい1.2Lは20.7km/Lになる。
1Lターボの動力性能は、ターボを装着しない1.4Lのガソリンエンジンに匹敵するから、排気量を1.2Lに拡大してもターボを取り去ると動力性能は低下する。その代わりWLTCモード燃費が11%向上するわけだ。
一方、4WDは車両重量が70kgほど重く悪路を走る機会も生じるため、動力性能に余裕のある1Lターボを継続的に搭載する。
装備は基本的には従来型を踏襲するが、向上した内容もある。衝突被害軽減ブレーキの歩行者検知機能は、従来は昼間のみ作動したが、新型では夜間の対応も可能になった。
パーキングブレーキは、従来はレバー式のみだったが、新型はハイブリッドと1.2L/1Lターボの最上級グレード(ロッキープレミアムG&ライズZ)に、新たにスイッチで操作する電動式を採用している。
パーキングブレーキが電動であれば、運転支援機能によって先行車に追従停車した後、停車時間が長引いても自動的にパーキングブレーキを作動させられる。レバー式では、追従停車してから2秒が経過すると、運転支援機能が解除されて再発進するが、電動式なら追従停車を続けられる。
そのほかの装備は、基本的に従来型を踏襲している。エンジンや装備に変更のない1Lターボ(4WD)のロッキーL&X、ライズGについては、価格も従来型と同じだ。
■e-スマートハイブリッドの価格は同排気量ガソリン車に比べ28万9000円のアップ!
注目されるe-スマートハイブリッドの価格は、最上級のロッキープレミアムGが234万7000円、ライズZは232万8000円になる。この価格を1.2Lのガソリンエンジンを搭載する同グレードと比べると、ロッキー、ライズともに28万9000円高い。
この価格差は、コンパクトなハイブリッドのなかでも少額の部類に入る。売れ筋の車種で見ると、フィットやカローラクロスの約35万円が、価格差としては最も少ないからだ(マイルドハイブリッドなどを除く)。
その代わりe-スマートハイブリッドのWLTCモード燃費は27.0km/L、1.2Lガソリンエンジンは20.7km/Lだから、ハイブリッドの燃費向上率は130%に留まる。その意味では、割安な価格はバランスが取れている。
e-スマートハイブリッドとガソリンエンジンでは、購入時に納める税金も異なり、プレミアムGやZの場合でe-スマートハイブリッドの税額は6万円ほど安い。そうなるとガソリンエンジンとe-スマートハイブリッドの実質価格差は約23万円に縮まる。
そこで実用燃費をWLTCモード燃費、レギュラーガソリン価格を1L当たり150円として計算すると(今の158円/Lは高すぎる)、23万円の実質価格差は14万kmを走った頃に取り戻せる。コンパクトな車種は概してガソリンエンジンの燃費も優れているから、価格差を取り戻すのに長い走行距離を要することが多い。
それでも前述の通り、e-スマートハイブリッドは加速が滑らかで、静粛性も優れている。走行性能や快適性の付加価値も含めると、e-スマートハイブリッドを選ぶ価値も十分にあるだろう。
それだけに推奨グレードも、最上級のロッキープレミアムG(234万7000円)、あるいはライズZ(232万8000円)になる。ヤリスクロスのハイブリッドで2WDの価格を見ると、中級のGが239万4000円、上級のZは258万4000円だから、ロッキー&ライズも価格競争力は十分にある。
またヤリスクロスハイブリッドZのWLTCモード燃費は27.8km/Lだから、ロッキー&ライズe-スマートハイブリッドの27.0km/Lと大差はない。
ロッキー&ライズe-スマートハイブリッドは、競争の激しいコンパクトSUV市場に立ち向かう新しい戦力とあって、機能、装備、燃費、価格のバランスが優れている。
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