■改革せずとも、クラウンは死なない
「若年層への訴求を強くする」と告げ、グレードを刷新、シックスライトキャビンの新しいエクステリアを導入するなどして、古さからの脱却を模索した15代目クラウンだが、トヨタが想像したような評価には至っていない。
古さを脱ぎ捨てた結果、これまでのクラウンオーナーのクラウン離れが加速した。クラウンにとって「変革」や「改革」という言葉は似合わないのかもしれない。
伝統に沿いながら、ゼロに立ち返る。12代目(2003年発表)のゼロクラウンと称されたモデルのような、変わり方がクラウンには合っていると筆者は思う。
柔らかい大きなシートに体を包み込み、段差を越えても優しく衝撃を和らげるフワっとしたサスペンション。アクセルを踏み込めば、車体後部が一瞬下がって進んでいく姿が、誰がどう見ても「クラウン」と言えるものなのではないだろうか。マジェスタ後継車が、こうした方向性であることに期待したい。
変わることは簡単であり、普遍的な価値を維持し続けることの方が難しいだろう。トヨタ・クラウンには、己の力で作り上げた価値を、後世にもつなげる動きを見せてもらいたいものだ。
メーカーが気にする「若返り」の部分だが、クラウン自体が若返らなくとも、販売の力で若返らせることも可能だろう。これまではトヨタ店だけでの取り扱いだったクラウンも、次期型では全チャネルが一斉にプロモーションを行い、販売を推進する。
ランクルが予想以上に跳ねたように、クラウンもネッツ・カローラ両チャネルからの販売が増えれば、自然と若返りも進むだろう。若返りは、販売のトヨタの肝でもある、全国各地の販売店に任せてみるのが得策ではなかろうか。
クラウンに関する情報は、まだまだ不確定な物が多い。それでも日々、様々なところで「クラウン」の4文字を見るのは、大きな注目と期待が集まっている証でもあろう。伝統のクラウンは、どうなっていくのか。今後も続報をお届けしていく。
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