■注文再開のメドが見えないランクル300……未オーダーは7万台超?
2022年7月のオーダーストップ時点で、国内向けの納期は4~5年とも言われたランクル300。新車販売台数を追うと、2022年中は毎月400~500台を行ったり来たりだった。しかし2023年になると年初から4月まで990台、1220台、1890台、1490台と増加傾向にある。
この「販売台数」は「生産・登録された台数」ということ。国内向けの出荷台数が、毎月1000台規模になったことを意味する。
ただし、現在日本全国には238のトヨタ販売店(チャンネル名を保有する法人)があり、単純に月の出荷台数1000台を238社で割ると、1社あたりの月間割り当てはわずか4.2台だ。
2023年初めの時点で、各社にはまだ平均300台近い未オーダーのランクル300があるといわれていた。この数が238社にあるならば、いまだに国内には約7万台近い未オーダー車があるということだ。
単純に毎月1000台ずつ減らしても70カ月を要する。つまり、すべて生産し終えるのは2028年10月という試算になるのだ。
増産は続いており、筆者の試算どおり2028年までかかることはないと思うが、直近の1年間で、注文されたランクル300をすべて生産するのは不可能な状態。注文再開はまだまだ先の話である。
■時が止まるランクル300! 動き出す250が「日本のランクル」になる?
ランクル300の注文再開のメドが立たない状態に、販売現場も苦悩している。注文再開を見通して、予約の列を作る販社もあるようだが、オーダーできないという現実はいまだ変わらない。
混乱を解消する一縷の望みとして、新型プラド(以下ランクル250)への期待は販売現場でも高まっている。そのいっぽうで筆者が、「ランクル300が消えるのでは?」と問いかけると、現場の営業マンは一様に驚いた表情を見せていた。
新型プラドの出来にもよるが、ユーザーや販売現場はランクル300のブランド価値を高く見ている。それゆえに、ランクル250導入と同時にランクル300をドロップさせるというのは非現実的な話だろう。
ただ、生産ラインは動くものの、注文ができないランクル300は、販売現場から見ると終売車種と同じ扱いだ。受注停止のまま気づいた時にはドロップアウトという流れも、ランクル250が代わりを務められるなら自然発生的に起こるだろう。
少々乱暴だが、300は海外用、250は国内中心とするほうが、国内のランクル需給問題は解消へ向かうはず。250販売から1年程度の猶予期間を設け、それでも300の安定供給目途が立たなければ、売ることができないランクル300を国内から撤退させるという選択肢が現実味を帯びてくる。
これまでも派生と吸収を繰り返しながら、長い歴史を紡いできたランクル。1990年代から現在までは安定期だったが、今後は国内ランクルの変革期になるだろう。ランクルの名は残り続けるが、ラインナップは2025年をメドに改変必死の様相だ。
【画像ギャラリー】今度のプラドはランクル300要らず!? 新型ランクル250が現行型ランクル300後継になるってマジか?(21枚)画像ギャラリー
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