サビ汚れを放置して脱輪事故!? ホイール・ハブの傷み具合をプロタイヤマンが解説します!

サビ汚れを放置して脱輪事故!? ホイール・ハブの傷み具合をプロタイヤマンが解説します!

 夏タイヤへの履き替えが終わったばかりの真夏は、まだタイヤの状態は良い事が多いんですが、故障するのはタイヤだけではございません。車両側に装着するホイールもあります。

 金属製品であるホイールでは、ナット穴付近からサビ汁(錆による汚れ)が放射状に流れ出した跡が見られることがあります。この「サビ汁」はただの汚れではございません。ホイールが傷んできている証拠です。

 ホイールやホイールを取り付けるハブは、目立った損傷や摩耗が無ければ交換しませんが、繰り返しの脱着や取り付け時の不備などで少しづつダメージが蓄積していきます。

 最終的にはホイール本体のひび割れ等によりナットが緩み、最悪の場合は車両への取り付け不充分となり、脱輪事故へと繋がります。実際の「サビ汁」事象からホイールの傷み具合を見てみましょう。

文・写真/ハマダユキオ

【画像ギャラリー】サビ汁とホイール・ハブの傷みを画像で解説!(6枚)画像ギャラリー

サビ汁が出ていたら……

 ナットの辺りから放射状に伸びるサビ汚れ。これがサビ汁です。全てのナット穴から出ている場合もあれば、一部分だけっていうのもあります。何れにせよ、サビ汁はホイールが傷んできている証拠です。

 これはナットの座面とホイールの座面に僅かながら隙間があって、サビを含んだ雨水等が走行時の遠心力で放射状に流れ出した跡なんですね。

 程度にもよりますが、サビ汁が出ていたら、なるべくホイールとナットを新品に交換する事をお奨めします。

 本来なら座面には隙間がありません。隙間があるという事はその分ホイールを押さえてる部分が少ないという事なので、ナットの緩みやホイールの割れに発展する可能性が高いです。

 では何故隙間ができるのか?

 新車、及び新品ホイールの場合はサビ汁は出ません。ナットとホイールに隙間が無いからですね。古い車両やホイールでは、金属同士の摩耗が進み、ナット座面に隙間ができる傾向にあります。

 特にJISタイプのホイール締結方法はナット座面がテーパー状になっています。締め付け時に回転しながらナットがねじ込まれるイメージですね。

 金属同士が接触し、なおかつ滑らせながら締め付けるので、座面に油分が無いと締め付け時の抵抗になってしまうばかりか座面も痛めてしまいます。その結果ホイール、ナットを痛めてサビ汁の発生に繋がります。

 ISOの場合は座面に油分は塗布しませんが軸力確保の為にナットとワッシャーの隙間には油分が必要です。

締め過ぎもホイールを損傷

 ナットの締め付けが規定トルク以上だった場合、つまり締め過ぎも座面を痛める要因の一つです。

 メンテナンス等を怠ってサビ汁を放置すると、軸力低下からナットの緩みに至りますが、点検等で緩みを発見して増し締めを実施しても繰り返し緩む事があります。

 この原因の多くはJISタイプのテーパー状の座面が、規定トルク以上の締め過ぎによる摩耗で穴が広がり、損傷するためです。

 本来ナットはボルト穴の全周でホイールを面で押さえますが、部分的に点で押さえることになり、結果あらゆる方向からの応力や振動に耐え切れなくなり緩みに発展します。

 対処法はやはりホイール、ナットの交換(ベストはボルトも交換)しかございませんが、ここで新品ホイールが交換後一年も保たなかった事例を紹介しましょう。

新品ホイールが1年で割れた原因

 大型トラックのJISタイプの8穴ホイールで、タイヤ点検や作業時にサビ汁が出ておりました。その都度増し締めや、締め付け時のトルクを少し高めに締めて注意喚起をしていたものの、サビ汁の量も増えてきてそのうち緩みが確認できるようになったんですね。

 それでも交換はしてもらえず、遂にはひび割れが発生。フロントだったので、さすがに使えない旨を伝えたところ、新品ではなくユーザーさん保管の中古ホイールの装着となりました。

 中古とはいえそんなに程度は悪くはなく、座面の状態も良好です。交換後暫くはサビ汁も出ず、緩みも発生しませんでした。

 ところが暫くして「ホイールが割れている」と言われ確認すると、ボルト穴から隣のボルト穴に繋がるようにひび割れしています。

 状態が良いとはいえ中古だったので「今度こそ新品にしよう!」ということで新品ホイールと新品ナットを装着。そのまま冬、春の履き替えは無事にできていたのですが、ほぼ一年後くらいにまた同じようなひび割れが発生したんですね。

 ユーザーさんには「ホイールが不良品なんじゃないの?」と言われましたが、ホイールは悪くありません。原因はホイールと車両の接点であるハブでした。ホイールとの合わせ面が摩耗しており使用限度を超えていたのです。

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