■3代目ワンダーシビックSi(1984年10月追加)
■初代バラードスポーツCR-X Si(1984年10月追加)
アラフィフとなった筆者が“テンロク”エンジンとしてまず取り上げたいのは、1984年10月に3代目、通称ワンダーシビックとバラードスポーツCR-XにZC型1.6L、直4DOHCエンジンだ。
ホンダとしては14年ぶりに復活したDOHCエンジンで、F1レースで培ったホンダ独自のエンジン技術を基に開発された。この1.6Lエンジンは、当時市販乗用車で世界初の4バルブ内側支点スイングアーム方式のシリンダーヘッドを採用。
これにより吸排気効率を大幅に向上させ高回転・高出力化を実現。最高出力135ps/6500rpm、最大トルク15.5kgm/5000rpmを発揮。
また、世界初の異形中空カムシャフトや小型軽量アルミシリンダーブロックを採用するなどの軽量化。さらに燃焼効率に優れたペントルーフ型燃焼室やセンタープラグ方式に加えて、吸排気の脈動効果にすぐれた等長インテークマニフォールド、4-2-1-2のエキゾーストシステムを採用していた。
また、エンジンオイルの温度上昇を抑え、ハードな走行でのエンジンの信頼性を向上させる水冷多板式オイルクーラーを装備するなどこだわりの仕様となっている。
このZC型エンジンを搭載しているワンダーシビックSiの中古車はわずか1台しか流通しておらず、走行距離がなんと40万km超ながら価格は約218万円となっている。
一方、バラードスポーツCR-X Siの中古車も1台だけ流通しており、車両本体価格は約128万円となっている。もう手が届かない存在となってしまっている。やはりサーキットを疾走し、勝利を重ねたシビックのほうが人気となっている。
■2代目CR-X SiR(1989年9月追加)
■4代目シビックSiR-II(1989年9月追加)
続いて紹介するのは、ZCエンジンから“テンロク”の称号を受け継いだホンダB16A型1.6L、直4DOHC VTECエンジンだ。
1989年4月に登場した「カッコインテグラ」というキャッチフレーズでお馴じみのインテグラに搭載され、1989年9月に4代目、通称グランドシビック(SiR、SiRII)とCR-X(SiR)に搭載された。
B16A型1.6L、直4DOHC VTECエンジンは、自然吸気エンジンながらリッターあたり100馬力のハイパワーと力強い低・中速性能を両立させ、最高出力160ps/7600rpm、最大トルク15.5kgm/7000rpmを発生した。
このエンジンを開発するにあたって、ホンダはエンジン性能に影響を与えるバルブタイミング(開閉時期)とバルブリフト量(開く高さ)に着目。
実用エンジンのバルブタイミング・リフトとレース用エンジンに迫るバルブタイミング・リフトを併せ持ち、運転条件に応じて、自動的に切り替える世界初の可変バルブタイミング・リフト機構を開発し、このB16A型エンジンに搭載したのだ。
このエンジンは、通常のDOHCエンジンに対し、吸・排気側それぞれにもう1つのカムとロッカーアームを備えていることが大きな特徴。吸気側3個、排気側3個のカム駒にそれぞれ異なるプロフィールを持たせ、中央を高速用カム、両脇を低速用カムとして設定。
この2種類のカムは、エンジン回転速度・エンジン負荷・車速などをECU(エレクトロニック ・コントロール・ユニット)でセンシングし、刻々の運転状況に応じて油圧ピストンを作動。瞬時 に高速時と低速時、それぞれに最適なバルブタイミングとリフト量を切り換える。
これにより、過給機付エンジンにはない自然吸気ならではのシャープなレスポンスを発揮させながら、最高出力160馬力の 驚異的なハイパワーを達成。同時に低・中速域でのトルク特性も妥協することなくレッドゾーンの8000回転まで一気に吹け上がっていく高速性能との両立を実現した。
B16A型エンジンを搭載したCR-X SiRの中古車は約6台流通していて、価格帯は約169万〜約350万円と高騰している。
一方のシビックSiR IIはわずか3台しか流通しておらず、価格帯は約219万〜約288万円と200万円以下の中古車は存在していない。DOHC VTECエンジンを搭載したシビック/CR-Xももはや絶滅危惧種となっている。
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