3月11日に、SUBARUの米国部門であるスバルオブアメリカは新型WRX(日本名WRX S4)のプラットフォームをベースとしたWRX STIを米国向けには生産しないと発表した。
日本市場において2021年11月に現行型WRX S4が登場しているが、WRX STIは2019年12月に生産終了し、ニューモデルは登場していない。
つい最近までWRX STIが販売されていた米国でも次期型を開発しないということは、先代のWRX STIが最終モデルとなる可能性が高まった。そこで、ここでは絶版モデルとなっている旧型WRX STIの最新中古車事情を紹介する。
文、写真/萩原文博
【画像ギャラリー】最終型スバルWRX STIタイプSの詳細を画像でチェック(9枚)画像ギャラリー名機EJ20を搭載したピュアスポーツセダン
SUBARUの走りの象徴と言われたWRX STI。このモデルを語る上でまず取り上げなければならないのは“EJ20型2L水平対向4気筒ターボエンジン”だ。
このエンジンは、1989年に登場した初代レガシィに搭載されて以降、進化を遂げてきた。数々の魅力があるが、低重心かつ左右対称の構造がクルマの運動性能へ大いに寄与すること。第二の魅力は、左右のピストンが互いの力を打ち消し合う特性により、直列エンジンよりも気持ちの良い高回転域を味わえることが挙られる。
さらに、EJ20型水平対向エンジンは、ショートストロークのピストンを持ち過給器と合わせることで高回転・高出力を誇る生粋のスポーツユニットとして、WRXやスーパーGTなどSUBARUのモータースポーツ参戦とともに進化を遂げてきた、まさに名機と呼べるエンジンだ。
この名機EJ20型エンジンを搭載した最後のモデル、スバルWRX STIは2014年8月に登場。
高剛性を実現したシャシーには、モータースポーツから生まれた先進のセンターデフ構造を持つAWDシステムである、マルチモードDCCD方式AWDを採用している。
このシステムは、前後輪への駆動力配分をプラネタリーギヤで前41:後59に設定。これに加えて全域を電子制御する差動制限機構を採用することで、差動制限の俊敏な応答性と、コーナー入り口でのスムーズな回頭性を実現している。
また、コーナリング時に片輪のスリップが生じた場合にトルク伝達のロスを抑えるLSDには、フロントはステアリング操作がスムーズなヘリカルLSD、リアは安定したコントロール性能を確保するトルセンLSDを採用している。
また、ブレーキシステムにはブレンボ社との共同開発によるブレーキシステムを採用。キャリパーは前後ともモノブロック構造で、フロント対向6ポット・リア対向2ポットとし、ローターは放熱性と耐フェード性を高めるドリルドローターを搭載する。
最高出力308ps、最大トルク422Nmを発生するパワフルなエンジンに組み合わされるトランスミッションは6速MTのみ。グレード構成はSTIとSTIタイプSの2グレードで、STIタイプSはビルシュタイン製ダンパーや大型リアスポイラーなどを装着し走りに磨きを駆けたモデルとなる。
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