■スバルアルシオーネSVX
鬼才ジウジアーロが基本デザインを手がけた4WDスペシャルティカーだ。北米市場を狙ったアルシオーネの後継モデルで、バブル期に開発され、1991年9月に登場した。ガラスエリアを大きく取ったエクステリアは、今見ても惚れ惚れするデザインである。エンジンは3.3Lの水平対向6気筒DOHCだ。
スムースに、高回転まで気持ちよく回る。クルージング時は静かだが、心に響くエンジンサウンドだった。ハンドリングも今のクルマと互角のレベルにある。センターデフに電子制御LSDを組み合わせたVTD-4WDは、4輪駆動であることを意識させない自然なハンドリングだ。運転するのが楽しい。
当時も販売は今一歩だったから、復活させても採算ベースには乗らないだろう。だが、アルピーヌA110やMINIの手法で復活を望みたい1台だ。
水平対向6気筒エンジンは自然吸気だったから、今の技術でやればかなり高精度のものを作れるし、パワーフィールだけでなく良好な燃費も期待できる。
当時は4速ATの出来が今一歩だった。最新のリニアトロニックなら気持ちいい走りを楽しめるだろう。ハンドリングも安全装備も当時とは比較にならないレベルにあるから魅力的なスペシャルティカーに仕立てられる。
アイサイトを搭載すれば北米でもヒットしそうだ。
■ホンダ初代インテグラタイプR
1995年8月、インテグラはマイナーチェンジを行い、フロントマスクを大きく変えた。このときに登場した硬派モデルがタイプRだ。
最初のタイプRである96スペックは、マニアックな味わいが魅力となっている。1.8LのB18C型直列4気筒DOHC・VTECエンジンは、レーシングエンジンのように官能的な吹き上がりを見せた。高回転のパンチ力も音色も刺激的だ。7500回転から8300回転まで感動的なパワーフィールを味わえる。クロスレシオの5速MTもダイレクト感覚だ。2ドアクーペだけでなく4ドアのタイプRを設定していたのも嬉しかった。
タイプRはホンダらいし究極のFFスポーツだ。今の技術で再販すれば、かなりいいクルマになるはずである。
なにより初代インテグラタイプRのボディサイズは全長4380×全幅1695×全高1320mm(3ドア)で222万8000円だった。現行型のシビックタイプRは全長4560×全幅1875×全高1435mm、価格は450万360円。「タイプR」は20年かけてふた回り大きくなり、価格は2倍以上になっているということになる。
96スペックは刺激的だが、クルマとしてのトータルバランスはホイールナットを5穴とし、足もリファインした98スペックのほう。エンジンは現行タイプRが積んでいる2LのK20C型DOHC・VTECをベースにしてもいいだろう。シャシーなどを強化しても、現行タイプRより軽量コンパクトだから気持ちいい走りを見せてくれると思う。
オリジナルに忠実でない進化型タイプRのほうが、売れ残るリスクは少ないはずだ。
■三菱パジェロ・エボリューション
2代目パジェロのショートボディをベースに開発された超スポーツSUVが1997年秋に登場したパジェロ・エボリューションだ。
限定発売の形をとり、エンジンは直噴のGDI技術を用いた3.5L、V型6気筒DOHCの6G74型を搭載する。このエンジンに可変バルブタイミング機構のMIVECを組み込み、冷却系にもメスを入れ、280ps/35.5kgmを絞り出した。また、サスペンションをチューニングし、設定を変更したABSやハイブリッドLSDなどによって意のままの気持ちいい走りを実現している。
97年のパリ・ダカールラリーで篠塚建次郎氏が日本人初の総合優勝をなしとげ、また専用開発部品をふんだんに盛り込みながらも5MT仕様で374万円(5ATで390万8000円)という手頃な価格もあって、2500台の限定枠はすぐに売り切れた。
さて時代は現代に移って、2017年の東京モーターショーに、三菱はEV技術を盛り込んだe-エボリューションを参考出品している。
この手法で、21世紀のパジェロ・エボリューションを出せば、往年のファンも喜ぶし、売りやすいと思う。電動化し、環境に配慮したプラグインハイブリッド車で、駆動方式は最新の4WDシステム、そしてルックスはパリ-ダカに参戦していた時代のデザインモチーフとする。これなら多くの人が納得するはずだ。
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