三菱デリカスターワゴン&スペースギアが愛され続ける理由

三菱デリカスペースギア

国内販売期間:1994〜2007年

 続いて、1994年に登場した4代目デリカスペースギアの中古車事情を見てみよう。

 1994年〜2007年まで国内で販売されていたデリカスペースギアは、2代目パジェロをベースに開発されたフロントノーズの付いたミニバンで、ボディの骨格にはラダーフレームとモノコックボディを一体化させたビルトインフレームを採用。この構造は現行モデルであるデリカD:5にも受け継がれている。

デリカスターワゴン/全長4685×全幅1690×全高1965mm 2972cc、V6SOHC 185ps/27.0kgm 価格/267万7500円(シャモニーエアロルーフ最終モデル)

 ボディは標準と40mm長いロングボディの2種類を設定、ルーフ形状はエアロルーフ、ハイルーフに加えて、エアロルーフにはツインサンルーフ、ハイルーフにはクリスタルライトルーフというガラスサンルーフ車も設定されていた。

 デリカスペースギアに搭載されているエンジンは最高出力185psを発生する3L、V型6気筒エンジンを筆頭に、2.4L、直列4気筒ガソリンエンジン、そして2.8L、2.5Lディーゼルターボエンジンの合計4種類が用意されていた。

パジェロ譲りの4WDシステムにより1BOXタイプとしては異例の走破性を実現。これこそデリカシリーズに共通するポリシーでありアイデンティティ

 トランスミッションは5速MTと4速ATが組み合わされ、駆動方式はFRとフルタイム4WDの2種類を設定している。

 デリカスペースギアに搭載されているフルタイム4WDシステムは本格SUVのパジェロ譲りのスーパーセレクト4WDを搭載。レバーひとつで、2WDから高い走行安定性を発揮する4WD、そして、悪路走行のためのセンターデフロックH、センターデフロックLの4種類からシーンに合わせた選択が可能となっている。

ハイルーフに設定されたクリスタルライトルーフはルーフから差し込む外光が気持ちよくユーザーから好評だった。ミニバンながらオープンエア感覚を満喫できた

 この本格4WDシステムの搭載が、デリカスペースギアが長く愛されている理由の一つなのだ。

 現在、デリカスペースギアの中古車の流通台数は約171台、平均相場は58万円となっている。3カ月前の時点と比べると流通台数は10台ほど増えているが、平均相場は約3万円値落ちしている。

 価格帯は約20万〜約235万円で、デリカスターワゴンと比べると、一般的な中古車相場に近い状態であるが、20年前のクルマと考えるとかなり高価格をキープしている。しかもデリカスペースギアは走行距離1.9万kmでも123万円と走行距離と価格の関係性は薄い印象だ。

 デリカスペースギアの中古車で最も多いグレードは特別仕様車で設定された3Lガソリンエンジンを搭載したシャモニーの4WD車で、実に中古車の約42%をこのグレードが占めている。

スターワゴン時代よりも豪華に仕上げられているインテリア。2列目の快適性を求めるなら7人乗り、フルフラットにするなら8人乗りが選べた

 続いて多いのがこちらも特別仕様車として設定された3.0アクティブフィールドエディションハイルーフ4WDで約14.4%、そして2.8DTシャモニーハイルーフ4WDと特別仕様車が独占する結果となった。

 モデルライフの後半はこのように装備が充実した特別仕様車しか新車は売れなかったとも考えられる。

 デリカスターワゴンと比べるとデリカスペースギアの中古車相場はプレミアム価格になっていないが、今後は上昇する可能性は大いにある。

 デリカスターワゴンと同様に中古車のエリア分布を調べてみると、デリカスペースギアは関東地方が最も多くなっているが、次いで北海道が多くなっている。

 デリカスターワゴン同様に耐久性の高いディーゼルエンジンそして高い走破性を誇る本格的4WDシステムを搭載したデリカスペースギアは北海道のユーザーにとって代替車がない唯我独尊のオールラウンドミニバンなのだ。

手前からスペースギア、2代目スターワゴン(デリカとしては3代目)、初代スターワゴン(同2代目)の揃い踏み。タフな走りはデリカ全モデルに共通している

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