三菱デリカスターワゴン&スペースギアが愛され続ける理由

三菱デリカスターワゴン&スペースギアが愛され続ける理由

 日本車の使用年数、車齢が長くなってきているが、その平均使用年数、平均車齢を大きく越えて愛され続けているクルマもある。

 今回はそんな愛され続けているクルマの中から、三菱の鉄板人気のSUVミニバン、デリカスターワゴン&デリカスペースギアの2台を取り上げる。

 デリカスターワゴン、スペースギアは、コレクターズアイテムとして残っているのではなく、現役バリバリで大事に使われているのが特徴だ。

 その愛され続けている理由について萩原文博氏が解説していく。

編集部註:萩原氏が本文中で使用している○代目というのは、デリカの乗用車としてのものです。

文:萩原文博/写真:MITSUBISHI、ベストカー編集部


コアな層から絶大なる支持を受けている

 広い室内空間魅力のミニバンとSUVの高い走破性を兼ね備えたオールラウンドミニバンの三菱デリカD:5。

 2019年2月にビッグマイナーチェンジを行い、ディーゼルエンジンを搭載したモデルは内外装の変更とともに、エンジンやミッションに磨きを掛け商品力を向上させている。

初代デリカ(写真左)は1968年にデビューしたので、2018年で50周年を迎えた。現行モデルのデリカD:5(写真右:ガソリンモデル)はデリカとしては5代目となる

 現行型のデリカD:5は乗用モデルであるデリカコーチがルーツとなるが、ミニバンとSUVの融合させたモデルとしてのルーツは2〜3代目のデリカスターワゴンといえる。

 さすがに1979年に登場した2代目デリカスターワゴンの中古車は見つからないが、1986年に登場した3代目デリカスターワゴン、そして1997年に登場した4代目のデリカスペースギアは現在も中古車を購入することができる。

初代デリカスターワゴンは1979年にデビューし、1986年まで販売。乗用デリカとしては2代目となる。タフな1BOXとして人気が高かったが、さすがに現在はほぼ見ない

 約30年前そして約20年前に登場したモデルの中古車がどうして流通しているのだろうか。それは現在でもコアな層に高い支持を得ているからだ。

 ここでは、3代目デリカスターワゴン、4代目デリカスペースギアの中古車事情を紹介しよう。

三菱デリカスターワゴン

国内販売期間:1986〜1999年

 3代目デリカスターワゴンは1986年6月に登場。エンジンを運転席下にレイアウトするキャブオーバータイプの1BOX車だった。クリスタルライトルーフと呼ばれる電動シェードを備えたガラスルーフ車を設定していた。

デリカスターワゴン/全長4485×全幅1690×全高1975mm 2476cc、直4SOHCターボ(ディーゼル)85ps/20.0kgm 価格/234万8000円(GLXエアロルーフ最終モデル)

 搭載しているエンジンは2L、2.4Lのガソリンエンジンも設定されていたが、1994年以降は2.5Lディーゼルエンジンのみとなっている。

 組み合わされるトランスミッションは5速MTと4速ATで、駆動方式はFRもしくはパートタイム4WDとなっている。

 デリカスターワゴンは4代目となるデリカスペースギアの発売後も併売され、1999年まで販売された。最終年式が20年前と古いモデルながら、現在中古車の流通台数は16台。平均相場は3カ月前が約126万円、一時91万円まで値落ちが進んだものの、再び値上がりして126万円まで戻している。

ルーフキャリア、それを使うためのラダー(はしご)はデリカスターワゴンオーナーの定番ともいえるアイテムで大人気だった。憧れた人も多いハズ

 中古車の価格帯は60万〜228万円と30年前のクルマながら、ビンテージモデルでもないのに非常に中古車価格は高い印象だ。そして高価格帯の物件は3代目をベースに2代目風に仕立てたカスタムモデルとなっている。

 中古車の価格帯と走行距離を見てみると、走行距離10万kmがボーダーラインとなっていて、10万km以下だと100万円以上。そして10万km以上だと100万円以下と概ね区分されている。

 なかには走行距離23.5万kmという中古車物件があるが、価格は60万円と決してメチャクチャ安いとはいえない価格だ。

 この高価格にも驚かされたが、もっと驚いたのが中古車の分布しているエリア。現在3代目デリカスターワゴンの中古車は16台流通しているのだが、最も多く流通しているのが関東地方を抑えて、北海道となっている。

 やはり、冬の寒さが厳しい北海道ではディーゼルエンジンと高い機動力を誇る本格的4WDシステムを搭載した1BOX車デリカスターワゴンの人気は高いようだ。このデリカスターワゴンのようなクルマは走行距離が延びていても、高い買い取り価格を引き出せる隠れた人気モデルなのである。

タフな走りとは裏腹に室内は豪華仕様も用意されていた。当時はまだミニバンという概念がないなか、シートアレンジも豊富で快適な室内空間を誇った

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