今のクルマは大きくなりすぎているので、手軽な5ナンバーサイズの日本のFRコンパクトスポーツが欲しいと思っている人は多いという。しかし、古いし相場も確実に上がっているだろうということで躊躇しがち。
世界に誇る名車のユーノスロードスター、人気があったにもかかわらず排ガス規制により約3年半という短命に終わった日産シルビア(S15型)は今でも中古車として人気が高い。現在欲しい人も多いはず。
そこで本企画では、この2台の中古車のタマ数、相場などを紹介しつつ、萩原文博氏が両モデルの中古車について検証していく。
文:萩原文博/写真:MAZDA、NISSAN、ベストカー編集部
一度も途絶えることなく販売されているのはロードスターだけ
バブル景気まっただ中で幕を開けた平成の時代。好景気に支えられておかげで、国産車のビンテージイヤーと呼ばれる1989年からバルブ崩壊直前の1991年までは現在でも名車と呼ばれるクルマがたくさん登場した。
1993年頃にバブル景気が終わるとその後、国産メーカーはコストカットの嵐となり、モデルの統廃合や廃止が相次いだ。そしてようやく経済が立て直し始めた2008年リーマンショックによって再び国産車メーカーには厳しい時代が到来する。
つまり平成の30年は自動車業界にとって最初の数年は好景気だったが、その後は停滞や低迷が続いた厳しい時代となったのだ。
そういった逆風の状況で趣味性の高いスポーツカーなどは生産終了となりやすい車種であることは間違いない。実際、1980年代後半に生まれたスポーツカーで令和の時代まで、一度も途絶えることがなく販売されているのはマツダロードスター(ユーノスロードスター)だけ。
そのほか、フェアレディZのように一度生産終了した数年後に復活や86/BRZのように平成の後半に発売されたモデルばかりだ。
しかも、アメリカの25年ルールによって平成初期に登場した日産R32型スカイラインGT-Rをはじめとした右ハンドルのクルマはどんどん海外に流出している。
そういった世相を反映して、今回は1990年代に生まれたスポーツカーのなかから、コンパクトなボディでFR(後輪駆動)を採用した国産スポーツカーである、初代NA型ユーノスロードスターと最終型となったS15型日産シルビアに注目し、中古車事情に迫ってみる。
前期は1.6L、後期は1.8L
前期モデル(1989~1993年)
エンジン形式:直4DOHC、エンジン型式:B6-ZE、総排気量:1597cc
最高出力:120ps/6500rpm、最大トルク:14.0kgm/5500rpm
後期モデル(1993~1997年)
エンジン形式:直4DOHC、エンジン型式:BP-ZE、総排気量:1839cc
最高出力:130ps/6500rpm、最大トルク:16.0kgm/4500rpm
NA型と呼ばれる初代ユーノスロードスター(現マツダロードスター)は1989年9月に登場し、間もなく生誕30周年を迎える2シーターオープンスポーツカー。
当時絶滅していたライトウェイトスポーツカーとして復活し、その後各自動車メーカーが2シーターオープンカーを発売したのはご存じのとおり。当初は最高出力120psを発生する1.6L直列4気筒エンジンを搭載。
そして1993年のマイナーチェンジで最高出力130psを発生する1.8L直列4気筒エンジンが追加された。
組み合わされるトランスミッションは5速MTと4速ATで駆動方式はFRのみ。車両重量も1トン以下(1.8LAT車は1トン超え)というライトウェイトスポーツを体現していた。
最近になってNA型ロードスターはマツダ自らがレストアを行うプランもあり再注目されている。
グレード構成は標準車に加えて、MOMO製の本革巻きステアリング、アルミホイールなどを装備する、スペシャルパッケージ、ナルディのウッドステアリング、ウッドシフトノブを、タンカラーの幌装着したVスペシャル(1.8L車はVスペシャルタイプ2も設定)、そしてビルシュタイン製ダンパー、BBS社製のアルミホイールなどを装着したSスペシャル、1.8L車の後期型にはMパッケージやスペシャルタイプ2などのカタログモデルが設定されていた。
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