エクリプスクロスに“三菱魂”はあるのか!?『最後の三菱オリジナル』を試乗

 三菱にとって久々の新車、エクリプスクロスが間もなく2018年春より日本での発売を開始する。同車は軽とOEMを除けば、2012年のアウトランダー発売以来、三菱にとって約5年振りの新型車。

 同時に、今後登場する三菱車は日産車と共通の車台を使うことから、「純粋に三菱が一貫して企画・開発した新車」としては実質的に最後の新車となる。

 今回、その日本仕様モデルにいち早く試乗する機会を得た。果たして、最後の三菱オリジナルに、三菱の魂は宿っているのか!?

文:片岡英明/写真:池之平昌信


RVRより少し大きい“別物”のSUV

エクリプスクロス(左)とRVR(右)。エクリプスクロスはRVRの後継モデルではなく、独立した新規車種と三菱も明言している
エクリプスクロス(左)とRVR(右)。エクリプスクロスはRVRの後継モデルではなく、独立した新規車種と三菱も明言している

 エクリプスクロスは、RVRの上のポジションに位置する、オンロード派のクロスオーバーSUVだ。

 エクステリアはクーペ風のスタイリッシュなフォルムで、三菱のブランドアイコンとなっているジェットファイターグリルがよく似合う。

 日本ではヴェゼルやC-HRがライバルになるだろう。ボディサイズはC-HRより少し大きく、風格も1クラス上の印象だ。RVRと比べても存在感が強い。

充分な広さと大きさを感じさせない運転感覚

車両が傾いているか否かを判断しやすい水平基調のインパネ。パジェロ等本格派SUVに長けた三菱らしいデザイン哲学だ
車両が傾いているか否かを判断しやすい水平基調のインパネ。パジェロ等本格派SUVに長けた三菱らしいデザイン哲学だ
後席の頭上が狭くなりがちなクーペルックながら、成人男性が座っても充分の空間を確保
後席の頭上が狭くなりがちなクーペルックながら、成人男性が座っても充分の室内空間を確保

 全幅は1805㎜あるが、ステアリングを握ってみると大きさを感じさせなかった。見下ろし感覚で、前方の視界がいいから扱いやすく感じるのである。ノーズ先端も把握しやすい。

 キャビンも満足できる広さだ。小柄な人でも乗り降りしやすいし、フロアと座面の高さも適切だから気持ちよく座れる。前席は大柄な人でもベストポジションを取れるはずだ。

 後席には120mmのスライド機構を採用した。後方にセットすればリラックスした姿勢で座ることができ、ロングドライブも無理なくこなせるだろう。ヘッドクリアランスも余裕がある。ラゲッジルームも満足できる広さを確保していた。

従来の三菱車とは一線を画す新ターボエンジン

トレンドの1.5L直4ダウンサイジングターボ。最大トルクはシビック用のホンダ製1.5Lターボを上回る
トレンドの1.5L直4ダウンサイジングターボ。最大トルクはシビック用のホンダ製1.5Lターボを上回る

 パワーユニットは新開発の1.5L直列4気筒DOHC直噴ターボを搭載する。世界的に流行しているダウンサイジングターボだ。

 これに8速スポーツモード付きCVTを組み合わせた。もちろんパドルシフトも装備されている。最高出力は120kW(約163ps)/5500rpm、最大トルクは250Nm(約25.5kgm)/1800〜4500rpm。

 駆動方式は、アウトランダーのものをオンロード向きにアレンジし、進化させた電子制御4WDのS-AWCを採用する。

 日本仕様のプロトタイプに特設コースで乗せてもらった。走り出してすぐに、エクリプスクロスは非凡な実力の持ち主であることがわかる。注目の1.5Lの直噴ターボは、これまでの三菱車のターボとは一味違うフィーリングだ。

 IHI製のターボはレスポンス鋭く、低回転から過給が始まる。アクセルを踏み込むと、間髪をいれず気持ちよくスピードを上げていく。2Lの自然吸気エンジンよりはるかに刺激的な加速を見せる。だが、荒削りではない。

 8速CVTもいい仕上がりだ。独特の後追い感や応答レスポンスに不満を感じるCVTが多いが、エクリプスクロスのCVTはダイレクト感が強く、力強い加速を見せつけた。パドルシフトも操作しやすい。

 静粛性も比較で持ち込んだRVRを圧倒した。クルージングではキャビンは静かに保たれ、加速していくときのエンジン音も耳障りと感じなかった。

次ページは : “驚いた”のは予想以上のハンドリング

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