なんでみんなゲレンデって呼ぶの? バカ売れGクラス衝撃の歴史

なんでみんなゲレンデって呼ぶの? バカ売れGクラス衝撃の歴史

 ゲレンデことGクラスの歴史はシンプルなのにちょっとややこしい。フルモデルチェンジでも見た目の変化が分かりづらかったり、フルモデルチェンジなのにフェイスリフト扱いだったりするためだ。多くの人が憧れる人気モデルGクラス。電動化が始まったこのタイミングで基本的な歴史をおさらいしておきたい。

文:藤野太一 写真:メルセデス・ベンツ

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■ゲレンデからGクラスへと名前を変更

1979年にデビューしたW460型。ボディバリエーションもショート、カブリオレなども用意されていた。現在よりオフロード色が強いため、こちらを好むファンが多い。そのため中古車市場ではここ10年ほどでレア&高額車になりつつある。
1979年にデビューしたW460型。ボディバリエーションもショート、カブリオレなども用意されていた。現在よりオフロード色が強いため、こちらを好むファンが多い。そのため中古車市場ではここ10年ほどでレア&高額車になりつつある。

 Gクラスは軍用車両を出自とし、四角い無骨なスタイリングで本格的なオフロード性能を有している。特にデビュー当時からスタイリングがほとんど変わっていないことが人気の理由のひとつとして挙げられる。ユーザーはそのルーツを知ってか知らずか、Gクラスがもつ本物感のようなものに惹かれるのだろう。

 初代Gクラス(W460)のデビューは1979年。もとは軍用車として企画されたものを民生車両として開発したもので、現在までオーストリアのシュタイア・プフ(現在のマグナ・シュタイア)で生産されている。

 ちなみにNATOで制式採用されている軍用車がW461型、ギリシャ向けの軍用車がW462型となっている。

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■W463型へ進化し徐々に街乗りSUVとしても地位を固める

日本でも爆発的なヒットとなったW463型。2000年以降になると一気に近代化。高級乗用車として使えるため最終型はいまだに中古車市場でも高値で流通している。
日本でも爆発的なヒットとなったW463型。2000年以降になると一気に近代化。高級乗用車として使えるため最終型はいまだに中古車市場でも高値で流通している。

 1990年に乗用モデルとして2代目となるW463が登場。当時は“ゲレンデヴァーゲン”(ドイツ語でオフローダーの意)という車名だったが、1994年にその頭文字をとってGクラスと呼ばれるようになった。今もGクラスをゲレンデと呼ぶ人がいるのはその名残である。

 そして翌年にはGクラス初のAMGモデル「G36 AMG」が登場する。一方、2006年にメルセデスは最上級SUVとなるGLクラス(現GLS)を発売。実はこの頃、Gクラスの生産中止が噂されていた。

 しかし、メルセデスにそれを翻意させたのは日本市場での人気の高さだったと言われている。本格オフローダーをストリートで使うというスタイルが世界的に広まっていくきっかけとなった。

 2011年にはショートボディの生産を終了。W463は2018年まで生産された。現在、中古車マーケットで多く流通しているのがこのW463だ。

日本での人気に火を付けた要因のひとつがAMGモデルの存在。G63は約1800万円、G65に関しては3000万円オーバーの新車価格だったのにも関わらず、日本では嘘のように売れた。
日本での人気に火を付けた要因のひとつがAMGモデルの存在。G63は約1800万円、G65に関しては3000万円オーバーの新車価格だったのにも関わらず、日本では嘘のように売れた。
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■フルモデルチェンジに見えても実は大幅改良という位置づけ

W463型のイメージをしっかり踏襲しつつ、一気に近代化が図られた2018年のフェイスリフト。型式はここではまだW463A型となっている。ドアを閉めた音まだW463型と同じと話題になった。
W463型のイメージをしっかり踏襲しつつ、一気に近代化が図られた2018年のフェイスリフト。型式はここではまだW463A型となっている。ドアを閉めた音まだW463型と同じと話題になった。

 2018年にフルモデルチェンジ並みの大幅な改良が施された。型式はW463を踏襲し、W463Aと呼ばれる。新設計のラダーフレームを採用しフロントサスペンションには独立懸架式ダブルウィッシュボーンを組み合わせる。

 ステアリング機構はボール&ナットから電動機械式ラック&ピニオンへ、トランスミッションは9速ATになるなど、一気にモダンになった。

 そして、2024年のモデルチェンジはW463Aのフェイスリフトという位置づけだ。型式はこのタイミングでW465となっている。

 新型のトピックはエンジンの電動化、最新のインフォテインメントシステムを搭載するなどデジタル化が進んだこと。そしてついにGクラスのEVバージョンもデビューした。

 「ハイ、メルセデス」で起動する対話型インフォテインメントシステム「MBUX」をGクラスに初搭載。

 ナビの目的地入力をはじめ、電話、音楽選択、メッセージ入力・読み上げ、エアコンの温度調整、照明などなどを音声で操作できるメルセデスではお馴染みの機能だが、満を持してGクラスにも採用されたというわけだ。

 MBUXは年々進化を果たしており、認識精度も高まり、使い勝手が向上している。また現実の映像の上に重ねて進むべき方向を矢印で表示する AR (Augmented Reality = 拡張現実)ナビゲーションを標準装備している。

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次ページは : ■電動化など盤石の体制で進化し続けるGクラス

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