北米での発表から遅れることおよそ1年半。新型スバル フォレスターがようやく日本でも正式発表された。特筆すべきは、やはりストロングハイブリッド「S:HEV」の導入。しかしガソリンモデルの「SPORT EX」の走りもなかなかだった!?
※本稿は2025年6月のものです
文:鈴木直也/写真:奥隅圭之、スバル
初出:『ベストカー』2025年7月26日号
北米デビューから1年半……満を持して日本登場
●新型スバル フォレスターのポイント
・スバル初のストロングHEV(S:HEV)を搭載。63Lの燃料タンク搭載で航続距離1000kmを実現
・最新のSGP採用と、ダンパー特性変更で快適性、運動性能を向上
・「Premium」「SPORT」「X-BREAK」の3グレードを展開
新型フォレスターは、ここ数年のスバル車のなかで最も重要なニューモデルだ。
北米市場の稼ぎ頭であり、S:HEVの投入で待望の電動化も大きく前進、SGP(スバルグローバルプラットフォーム)やアイサイトも最新バージョンに進化。
北米での発表から1年半遅れではあるが、満を持して日本市場に投入される自信作と言っていい。
そんな注目のフォレスターの公道試乗がついに解禁。我々の取材日の天候はあいにくの雨だったが、スバル自慢のシンメトリカルAWDにとってはむしろ持ってこいの条件。
千葉県鋸山の採石場跡地に特設されたオフロードコースをスタート地点に、鴨川市周辺のローカルワインディングでじっくりとその実力を味わってきた。
1.8Lターボの軽快感に高感度アップ!
試乗メニューは、特設オフロードコースでの新旧フォレスター乗り比べからスタートしたのだが、石切場跡だけに大小の岩が地面から顔を出す路面コンディション。ギャップ乗り越えの連続だけに、どう走っても前後左右に大きく揺すられる。
まぁ、これは物理的に避けようがない現象なのだが、その「揺すられ方」の質が新旧フォレスターではっきりと異なるのだ。
ざっくり言えば、新型のほうが揺れ幅が小さく、しかも適度にダンピングが効いていてしなやか。速度レンジを上げても下げても、この傾向は変わらなかった。
同乗の担当編集H氏は旧型フォレスターのオーナーなのだが、「なんすか、この乗り心地の差は!」とちょっとショックのご様子。
注目のAWD性能については、岩場中心で路面μが高め(つまり滑らない)だったこともあり、X-MODEが活躍したのはヒルディセント(坂を下りること)程度。
AWD性能に関しては旧型もほとんどヒケをとる気配はなく、より洗練されたボディコントロールを身に付けたことが、オフロード試乗における新型フォレスターの特筆すべきポイントだった。
続く一般公道では、S:HEV(ストロングハイブリッド)と“スポーツ”(1.8Lガソリンターボ)を乗り換えて鴨川のローカル道を楽しんだが、ここで当初の予想より「イイじゃん!」と好感度が上がったのが、1.8Lターボの軽快で素直なドライバビリティだった。
そりゃもちろん、S:HEVのほうが燃費や静粛性に優れているし、ドライバビリティについてもほぼ文句なしで、予算があるなら普通の人にはこっちを薦めます。
ついでに言えば、ダイレクトな加速感やフル加速時のエンジンの“ウナリ”などに関しても、本家トヨタのTHSよりむしろ出来がいいほどで、本命がどっちかといえば間違いなくS:HEVのほうでしょう。
対して、1.8Lターボの“スポーツ”には、S:HEVとはちょっとキャラの異なる軽快感があって、特にローカルなワインディングを適度なペースで走っていると、伝統的なスバル車の味わいがそこはかとなく心地よい。
表現がわかりづらくて申し訳ないが、“スポーツ”からS:HEVに乗り換えると、すごく「乗用車っぽく」感じられ、このへんが物足りなく感じてしまうのだ。


























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