未来感たっぷりで近未来EVの象徴ともいえる格納式ドアハンドルが、中国で禁止される流れとなった。デザイン性や空力面で評価されてきた一方、安全面での懸念が表面化した形だ。中国発の新規制は、今後のクルマづくりにどんな影響を与えるのか。ドアハンドルの「当たり前」を改めて考えてみたい。
文:ベストカーWeb編集部/写真:NIO、ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】こちらも格納式ドアハンドル…テスラ モデルYを見る(5枚)画像ギャラリー中国が示した「安全最優先」という明確なメッセージ
日本貿易振興機構(JETRO)によれば、2025年12月16日、中国工業情報化省が「自動車ドアハンドル安全技術要求」を含む強制国家標準の策定を完了した。背景にあるのは、自動車の電動化・スマート化の急速な進展だ。格納式ドアハンドルはその流れの中で広く採用されてきたが、実際の使用過程で安全上の課題が顕在化してきたという。
具体的には、車両の電源喪失時に電動内外ドアハンドルが作動しない、外から見てドアハンドルの位置が分かりにくい、緊急時にドアを開けにくいといった問題だ。こうした状況を受け、中国では「すべての自動車ドアに機械式の外部ハンドルと内部ハンドルを装備すること」が義務付けられる方向となった。
日程も明確だ。新型車は2027年1月1日から、既存モデルについては2029年1月1日までに新規制へ適合する必要がある。世界最大級の自動車市場である中国が示したこの判断は、各メーカーにとって無視できないインパクトを持つ。
便利さとデザイン性の裏にあった現実的なリスク
格納式ドアハンドルといえば、未来的でスマートというイメージが強い。ボディとツライチになるデザインは、見た目の新しさだけでなく、空力性能の向上をうたうケースも多かった。一方で、万一の事故やトラブル時に「開けにくいのでは?」という声が以前からあったのも事実だ。
対策を講じているメーカーもある。たとえば日産の新型リーフの「電動格納式アウトサイドドアハンドル」は、開錠状態で前側を押すと反対側がせり出し、手動で開けられる構造を持つ。さらに強い衝撃を検知した場合、ドアロックが3秒後に自動解除される仕組みも備えている。
とはいえ海外に目を向けると、過去には痛ましい事故も起きている。救助が必要な状況でドアが開けられなかった事例が報じられ、中国政府が今回の規制に踏み切った背景には、こうした実例への強い懸念があるとみられる。
未来感か、安全性か。中国の判断は「まずは命を守る装備を」という、極めて現実的なメッセージだ。格納式ドアハンドルはこのまま消えていくのか、それとも新たな安全基準を満たした進化形が登場するのか。ドアハンドルという小さな部品が、クルマの未来を左右する存在になりつつある。
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