エコカー全盛期のニッポン。ハイブリッドにPHV、クリーンディーゼルやEVと、いまや新時代のユニットがよりどりみどり。
そうした新技術を否定するつもりは毛頭ないけど、やっぱり原点に対する憧れみたいなものはある。
ここでは純粋なガソリンエンジン車にクローズアップして、日本一の名ガソリンエンジンを決定したい。
なお、「GT-Rのエンジン」は今回は「別格1位」ということで外させていただいた。まず第一弾は各カテゴリー別に「ナンバーワンエンジン」を算出したぞ!
文:鈴木直也、国沢光宏、渡辺陽一郎
ベストカー2017年3月10日号
まずは「スポーツ系NAエンジン」編
一時期よりも明らかに数は減っているが、今もなお日本車には各種類のスポーツ系NAエンジンが存在する。
ロードスターの1.5Lと2L、86/BRZの2Lといった4気筒もあれば、トヨタ、日産にはV6も健在。また、レクサスRC F、GS FのスーパーV8ユニットも存在感を発揮している。
ここでは3名の自動車評論家に、そのなかでのトップ3ユニットを選出してもらい、その採点もお願いしている。
その結果、ベストに選ばれたのは3者3様、それぞれ違うものだったのが興味深い。
ロードスターはほとんど唯一の例外
TEXT/鈴木直也
かつて、NAエンジンの〝華といえば、ホンダVTECに代表されるカリカリの高回転/高出力型だったが、効率重視の波に押されてこのタイプが絶滅。
今じゃお手頃価格のNAは燃費志向ばかりとなってしまった。そのなかでロードスターのP5-VP[RS]型はほとんど唯一の例外。パワースペックはたいしたことないが、キチンと手間をかけてチューニングされているのが魅力。
正確なレスポンス、スムーズな吹き上がりなど、乗ってみると実に気持ちのいいエンジンに仕上がっている。レクサス「F」の5Lや日産のVQ37もいいエンジンだけど、コスパはコレが圧倒的にいいね。
【鈴木直也が選ぶスポーツ系NAエンジンTOP3】
- 1位 マツダ P5-VP[RS]型(直4,1.5L ロードスター)
- 2位 トヨタ 2UR-GSE型(V8,5L レクサスRC Fほか)
- 3位 日産 VQ37VHR型(V6,3.7L フェアレディZほか)
世界レベルからすると見劣りする
TEXT/国沢光宏
我が国から魅力的なNAのスポーツエンジンは少なくなってしまった。1位の2UR(レクサスのV8、5L)にしても頑張ったのはエンジン音だけ。
世界レベルからすれば圧倒的にパワー低い。やはりリッターあたり100㎰を超えないとスポーツユニットとしての官能的な魅力は出てこないと思う。
2位のVQ37(日産のV6、3.7L)はNISMOに搭載されているスペックなら2URと同じ70点にしてもいいくらい楽しいユニットである。
3位はトヨタ2GR(V6、3.5L)を選んだ。このエンジンも素性よく、GRMNなど手を加えたら化ける? 次点にFA20を選んでおきます。
【国沢光宏が選ぶスポーツ系NAエンジンTOP3】
- 1位 トヨタ 2UR-GSE型(V8,5L レクサスRC Fほか)
- 2位 日産 VQ37VHR型(V6,3.7L フェアレディZほか)
- 3位 トヨタ 2GR-FSE型(V6,3.5L クラウンアスリートほか)
街中での使い勝手のよさも評価
TEXT/渡辺陽一郎
1位は86とBRZの2L。NAでも最高出力は207㎰(6速MT)に達して、高回転域の吹き上がりが鋭い。NAの魅力を満喫できて、なおかつ2500回転付近の実用トルクも充分にあるから、街中でも運転がしやすい。
2位はロードスターの1.5ℓ。吹き上がりが軽快で、性能をフルに使い切る楽しさを味わえる。エンジンの回転感覚がわかりやすく、6速MTではシフトチェンジのタイミングを把握しやすい。
アイドリングストップも用意した。当たり前の装備だがこのクラスでは珍しい。3位はクラウンアスリートなどの3.5L。古典的だが実用トルクが太い。
【渡辺陽一郎が選ぶスポーツ系NAエンジンTOP3】
- 1位 トヨタ&スバル FA20型(水平対向4,2L 86&BRZ)
- 2位 マツダ P5-VP[RS]型(直4,1.5L ロードスター)
- 3位 トヨタ 2GR-FSE型(V6,3.5L クラウンアスリートほか)
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