「脱炭素社会」は本当に実現可能か? 日本の打ち手は!?? 自工会の覚悟とは??? 【池田直渡の「EV急進派は負けたのか?」第3部】

「脱炭素社会」は本当に実現可能か? 日本の打ち手は!?? 自工会の覚悟とは??? 【池田直渡の「EV急進派は負けたのか?」第3部】

 このままで、「2050年カーボンニュートラル社会」は達成できるのか……!? 自動車経済ジャーナリストの池田直渡氏を編集部へお招きし、『EV急進派は負けたのか?』を題材に語っていただくシリーズ最終、第3回目。世界各国と日本の「CO2排出の削減量」を皮切りに、佐藤恒治氏がトヨタの社長から日本自動車工業会の会長に就任した「本当の理由」まで。今回も池田直渡氏の熱弁は続く!!

文:ベストカーWeb編集部、池田直渡/画像:池田直渡、ベストカーWeb編集部、Adobe Stock

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CO2排出量を23%も削減している日本! かなりの優等生

あまり報道されないが、日本の地球環境に対する努力は世界でも抜きん出ている
あまり報道されないが、日本の地球環境に対する努力は世界でも抜きん出ている

司会:(ベストカーWeb編集部・角田伸幸、以下、角田):ここから第3部に突入したいと思います。 ここでのテーマは「本当にできるの? 2050年のカーボンニュートラル社会」です。曖昧な予言というのはいろいろ出てくるのですが、ここでは池田さんにファクトに基づくシナリオとして、2035年、さらにその先2050年のクルマ社会はどうなるかを解説していただこうと思います。

自動車経済ジャーナリスト・池田直渡氏(以下、池田):はい、よろしくお願いします。

司会(角田):池田さんは2025年10月、単行本『EV手のひら返しと日本の勝ち筋』を上梓されました。この本では世界的なEVシフトとその後に起きた「手のひら返し」を読み解きつつ、日本の自動車産業が持っている「隠された伝家の宝刀」について光を当てています。今回お話しいただくテーマとも関わりが深いので、気になる方はぜひお読みいただきたいと思います。

※日本自動車工業会データより

池田:「2050年のカーボンニュートラルは本当にできるのか」。ど真ん中にある課題ですが、ではまず、今までどうなのか、という話をしましょう。日本自動車工業会が発表しているデータをお見せします。2001年から2019年まで、国別にどれくらいクルマのCO2排出量を削減したのかという数字。日本はすでに23%削減していますね。

※日本自動車工業会データより
※日本自動車工業会データより

司会(角田):日本、むちゃくちゃ優等生じゃないですか。

池田:優等生です。このグラフ、新聞やテレビでは報道されないんですよ。アメリカは逆にプラス9%で(CO2排出量が)増えているんですね。ドイツやオランダもプラス3%で右肩上がり。

司会(角田):イギリスはわりと頑張ってマイナス9%ですね。

池田:そのイギリスのダブルスコア以上に、日本はCO2排出量を減らしています。

司会(角田):日本、結構地球環境に貢献していることになりますね。

池田:日本はこれからも、CO2排出量を削減しつつグローバルな規制のなかで世界と競争していかねばならない。そうすると、各自動車メーカー個社で戦っていってもラチがあかない。ということで、ここで「日本自動車工業会の話」が出てくるわけです。

司会(角田):僕らが略称で「自工会」と呼んでいる組織ですね。みなさんも行かれたことがあると思う、「ジャパンモビリティショー」(旧東京モーターショー)を主催している団体です。

池田:はい。日本の14の四輪、二輪関係の会社によって構成されています。順不同で紹介しますと……トヨタ、日産、ホンダ、スバル、マツダ、三菱自動車、スズキ、ダイハツ、いすゞ、日野、三菱ふそう、UDトラックス、ヤマハ、カワサキです。

2026年1月22日、日本自動車工業会では「新7つの課題」に挑む新体制方針に関する説明会が開催された。中央がトヨタの佐藤恒治・新会長
2026年1月22日、日本自動車工業会では「新7つの課題」に挑む新体制方針に関する説明会が開催された。中央がトヨタの佐藤恒治・新会長

司会(角田):日本の自動車産業全体。オールジャパンという形ですね。

池田:はい。2025年10月に、トヨタの佐藤恒治氏(2026年3月31日までトヨタ社長)が自工会の新会長に就くことが発表されました(2026年1月より就任)。そのうえで、加盟14社の社長、副社長、会長、副会長が理事に名を連ねています。

日本自動車工業会・現会長の佐藤恒治氏。経団連の副会長も兼ねており、自動車産業全体の発展のために、トヨタ社長からトヨタ副会長(兼Chief Industry Officer(CIO))へ就任した
日本自動車工業会・現会長の佐藤恒治氏。経団連の副会長も兼ねており、自動車産業全体の発展のために、トヨタ社長からトヨタ副会長(兼Chief Industry Officer(CIO))へ就任した

司会(角田):自工会の役員は、社長、副社長、会長、副会長でないとダメだということですね。

池田:そうです。トヨタの豊田章男会長の時代(2012-2014年、2018-2023年)に自工会改革を強く進め、「(所属社の)決裁権のない人を(自工会へ)出してくるな」と決めました。少し前まではほぼ引退同然の相談役などが役員になることは珍しくなかった。でも、自分の会社に対して決裁力がないので、何かを決めて自工会の会議の場に持ってこられないんですよ。自工会で決まったことを自分の所属社で実施できなくてはいけない。そのためには決裁権を持たないといけない。だから、各社の執行メンバーのトップそれぞれが、自工会の会議で丁々発止やるのが重要ということで、現状の役員構成になっています。

 それで、豊田章男会長のあとを継いだ、いすゞの片山正則会長が日本自動車工業会が掲げる「7つの課題」を打ち出しました。日本の自動車メーカーが抱えている「解決すべき課題」を7つに絞ったのです。

 そして、今回トヨタの佐藤恒治が会長になって、それをもう少しグローバルな戦いや国際競争力を見据えた目標に絞り直そうと、ということでできたのが「新7つの課題」です。グローバルを視野においた、これからの日本の自動車業界にとってかなり重要な課題となります。

次ページは : 自工会「オールジャパン」で遂行していく「新7つの課題」とは?

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