日本のハイブリッド技術を世界が欲しがる…可能性もある!
池田:自工会の「新7つの課題」の根底にあるのは、もちろん2050年のカーボンニュートラル社会です。最近、米トランプ大統領が「地球温暖化の要因がCO2排出というのは間違いだ、まやかしだ」と発言し、非常にややこしいことになっているんだけど、それまでは世界的に「地球温暖化に対する反論を許さない空気」がありましたよね。科学者たちが作成した膨大なレポートをもとに、国連側が「地球温暖化はCO2が原因」と高らかなに発表したものですから。
でも、2035年の内燃機関禁止という前提が後退し、「地球温暖化はCO2が原因」はちょっとトーンダウンしていることは確か。とはいえ国連が気候変動対策としてCO2削減を進めるべきと言っている以上、「それは正しい」ということで(CO2削減を)進めるしかないわけです。そこにクルマ側が踏み込むべきではない、と僕はずっと言ってきました。ただそれに対して超大国アメリカの大統領が「そんなのは関係ない」と言い出した、という構図があるわけです。
司会(角田):なるほど、そういう時流になったと。
池田:ヨーロッパの人たちも、2035年、2050年が近づいてきて、なんと言い出すかですよね。CO2削減に関して、ヨーロッパの自動車業界の人たちは当初、ヨーロッパ型の高速移動社会にはディーゼルのほうがCO2の削減効果大きいとずっと言っていた。でも、そのディーゼルで不正を働いてしまい、彼らが出しているデータの信憑性が失われてしまった、という経緯はあります。その後、48Vのマイルドハイブリッドを推し進め、CO2を削減すると言っていたけれど、それで得られるCO2削減量は、そんなには大きくはない。
そうすると、やはりバイオエタノールなどの新しい燃料側での解決策を加えていかないと厳しいでしょう。数年前、ヨーロッパの自動車メーカーは、ちょっと勢いづいてEVに巨額の投資をして、いま全然回収できていません。そんななか、バイオエタノールなど新たな内燃機関へ投資をする余力があるのかどうか。ここが問われるところですよ。
司会(角田):そうすると、今でもCO2を23%削減して、頑張っている日本が、ヨーロッパやアメリカに対して、こうやればいいのではないかという、ある意味リーダー的存在になり、提案していけるという立場になりうるということですね。
池田:はい。下手したらエンジンごと提供するという話もあるかもしれません。つまり彼らが、内燃機関を再構築する余力がなかったら、技術を買うしかないじゃないですか。買い先の一番手はもちろん日本です。内燃機関の、特にハイブリッド技術となると日本以外の国はちょっと難しいですね。
司会(角田):日本のハイブリッド技術、進んでいますよね。そうなると、日本の自動車産業はまだまだ世界をリードしていける可能性がある……ということですか。
池田:そう、だから、自工会が発表した「新7つの課題」、僕、最初これを見た時びっくりしました。「これ本当にやるの?」と。本当にできたらすごいことになる。いまでもリードしているし可能性もあるのに、これ(新7つの課題)が本当に出来れば、日本の自動車産業はさらにライバルを突き放すことができる。自工会の加盟社って、広い意味で同業者じゃないですか。競合する14社が協力して新しい技術を開発していく、新しいスタンダードを作っていくという課題です。もちろん大変困難な課題ですけども、これが出来れば本当にすごい。そしてそのために、トヨタは社長をやっている佐藤恒治さんという人材を、日本の自動車業界のために、任せるね、と出したわけです。
これがヨーロッパなら、普通に考えても長くかかりますよ。一緒にやろうよという空気を醸成し、互いに協力して組織を作り、みんなで何かを始めるまでには。
司会(角田):そういう世界の事情を見ても、2050年を射程に入れると日本の自動車業界はすごいことになりそうです。かなり期待が持てますね。池田さん、長時間の解説、ありがとうございました。
池田:ありがとうございました。
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