毎年10月下旬から11月上旬に発表される日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)。近年はSUVや電動車が存在感を示していますが、過去にはスポーツクーペが頂点に立ったこともあります。その代表格が、1994年に登場した三菱「FTO」です。発売からわずか2か月で1994-1995日本カー・オブ・ザ・イヤーの大賞を受賞したFTOは、RVブームの真っただ中でスポーツクーペが頂点に立った、極めて珍しい存在でした。
文:立花義人、エムスリープロダクション/写真:ベストカーWeb編集部、MITSUBISHI
【画像ギャラリー】発売2か月でCOTYを受賞した 三菱「FTO」(10枚)画像ギャラリー高性能V6と軽量ボディが生んだ本格スポーツクーペ
「Fresh Touring Origination(新鮮なツーリングカーの創造)」がその名の由来の三菱「FTO」。ミラージュ/ランサー系のプラットフォームをベースとしながら、全長4320mm、ホイールベース2500mm、全幅1735mmの3ナンバーサイズとすることで、ワイド&ショートの伸びやかなスタイルを実現した2ドアのスポーツクーペでした。
前後オーバーハングを切り詰め、張り出したリアフェンダーが力強さを演出するプロポーションは、「止まっていても走り出しそうな躍動感」を狙ったものだそう。タイトなコクピットやホールド性の高いシートも、スポーツカーらしい雰囲気づくりにひと役買っていました。
エンジンは3種類を用意。1.8リッター直列4気筒(125ps)と2リッターV6 DOHC(170ps)のほか、最上級グレードには可変バルブタイミング・リフト機構「MIVEC」を備えた2リッターV6「6A12型」を搭載。200ps/7500rpmを発生するこのユニットは、リッターあたり100psを達成した高回転型のエンジンで、トップエンドまで気持ちよく回る特性を持っていました。
車重は1170kgと軽量で、フロントストラット、リアマルチリンクの足回りとの組み合わせにより、当時のFF車のなかでも随一と評されるシャープなハンドリングを実現していました。
しかも最上級グレードGPXの価格は、5速MTで228万7000円。当時のライバル車と比較しても手の届きやすい価格設定で、「気軽に楽しめるスポーツ」というコンセプトを体現した1台でした。
時代を先取りしたスポーツAT「INVECS-II」
FTOを語るうえで欠かせないのが、トランスミッションに採用した「INVECS-II」です。Dレンジからレバーを横へ倒してスポーツモードに切り替え、前へ押せばシフトアップ、手前へ引けばシフトダウン。当時としては先進的だったシーケンシャルシフトを採用し、4速ATでありながら積極的にギアを選びながら走る楽しさを味わえました。
同様の機構はポルシェのティプトロニックなどにも採用されていましたが、230万円級の国産スポーツクーペに搭載した意義は大きいといえます。デビュー当時、筆者も試乗しましたが、手首の動きだけで思いどおりにギアを選べる感覚は印象的でした。
さらにこのシフトには、ドライバーの癖を読み取ってコーナー進入時に自動でシフトダウンを行うという学習制御機能も搭載されていました。「スポーツカーはマニュアル(MT)で乗るもの」という常識がまだ支配的であった時代に、ATでも思いどおりの走りが楽しめることを提案したのです。
その後、マニュアルモード付きATが多くのスポーツモデルへ広がっていったことを考えると、FTOはその流れを早い段階で示していたといえます。













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