初代NSX、日本が生んだ唯一のスーパーカーをいつか買いたい!!

初代NSX、日本が生んだ唯一のスーパーカーをいつか買いたい!!

 バルブ景気という未曾有の好景気によって、1989~1990年にかけての国産車ビンテージイヤーとなった。その国産車のビンテージイヤーを代表するクルマの1台として外すことができないのが、ホンダNSXだ。

 スーパーカーの定義は人それぞれあると思うが、1990年当時はリトラクタブルヘッドライト、運転席後方にエンジンを搭載したミッドシップレイアウトそして、圧倒的な走行パフォーマンスの3項目を備えたクルマだと個人的には考えている。

 中にはガルウィングも条件ではという人もいるかもしれないが、フェラーリはガルウィングを採用していないことからも条件から外している。

 当時、そして現在でもこの3つの条件を備えた国産スーパーカーはNSXだけなのだ。今回は国産車初のスーパーカー、NSXの歴史と最新の中古車事情について紹介しよう。

文:萩原文博、写真:ホンダ、日産

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初代NSXはどんなクルマだったのか?

日産MID-4は発売直前で凍結となった。
日産MID-4は発売直前で凍結となった。

 NSXは本来ならば、国産車初のスーパーカーにはならないはずだった。そう、日産MID-4が市販化されていたならば。

 追浜のテストコースでプレス向けの試乗会を行い、発売直前だったMID-4だが、車両本体価格が高くなりすぎて採算が取れないということで、凍結されてしまった。

 しかし、MID-4で培った4WDシステムをはじめとした技術は多くの市販車に採用され、スピリットは生き続けている。

 このMID-4の例だけでなく、スーパーカーを販売までこぎ着けるというのはハードルが高いことがわかってもらえるだろう。

 そのような中で、やはりバブル景気が追い風となり1990年9月14日、ホンダNSXが登場する。新世代ミッドシップスポーツカーと名付けられたNSXは、高い運動性能を成立させるために、オールアルミモノコックボディを採用。

初代NSX
初代NSX

 従来のスチールボディと比べると、140kgの軽量化を実現し、足回りなどのパーツもアルミ化することで、総重量では約200kgの軽量化を達成している。

 運転席後方に搭載される3L V型6気筒DOHCエンジンは、吸排気に優れたショートストロークタイプで、センタープラグのペントルーフ形燃焼室を採用したスポーツ型エンジンで、可変バルブタイミング・リフト機構のVTECやチャンバー容量切り換えインテークマニホールドシステムを採用した。

 最高出力280ps、最大トルク30.0kg-mを発生すると同時に低・中速域から高回転域まで谷間のない出力特性と高いレスポンスを実現している。

4代目プレリュード(1991~1996年)
4代目プレリュード(1991~1996年)

 筆者が自動車メディアに関わり始めた頃、2.2L直4VTECエンジンを搭載したプレリュードに乗っていた。

 プレリュードは回転数が上がってカムが切り替わるとまた延びていく感覚だったが、仕事で乗ったNSXは全域がパワフルで、どこまでもエンジン回転数が延びていく感覚を覚えたのは現在でも忘れない。それほど、高回転まで回して楽しいエンジンだった。

 3LV6エンジンに組み合わされるミッションはセカンドギアにダブルコーンシンクロを採用した5速MTと4速ATの2種類だった。

 そして、1992年11月にはエンジンのバランス精度や重量精度を向上し、遮音材などの削減によって約120kgの軽量化が図られたNSXタイプRが登場。

 快適装備を一切外したスパルタンなサーキット仕様で、ハードにセッテイングされたサスペンションは公道を法定速度で走行するとただ苦痛でしかなかった。

NSXタイプR(1992年11月登場)
NSXタイプR(1992年11月登場)

 1995年3月にはオープンモデルのタイプTを追加。AT車にはステアリングコラム横にあるシフトスイッチを操作するだけで、マニュアル車感覚でシフトチェンジが行えるFマチックを新採用した。

 また、F1にも搭載されているDBW(ドライブ・バイ・ワイヤ)やMT車のLSDを駆動トルクに比例してLSDを作動させる機能を追加したプリロード型LSDを搭載するなどの改良が行われている。

 1997年3月に初のマイナーチェンジを行った。改良点はMT車に搭載するエンジンを3.2Lへと排気量アップすると同時に6速へと多段化された。AT車は、Fマチックのさらなる進化が行われている。さらに空力性能を向上させた新デザインのフロントアンダースカートを採用している。

初代NSX タイプS(1997年)
初代NSX タイプS(1997年)

 そして、エアコンなどの快適装備はそのままに約45kgの軽量化をはじめ、専用サスペンションチューニング、専用デザインのステアリングホイールなどを採用したNSXタイプS。

 そして、サーキット走行をメインとして、装備を簡略化したタイプS・ゼロという2グレードを新たに設定した。

 1999年9月にはエンジンの環境性能を向上させる一部改良を行い、2001年にはマイナーチェンジを行い、リトラクタブルヘッドライトを廃止し、新デザインのプロジェクタータイプディスチャージヘッドライトをはじめ、フロント&リアバンパーなどを採用し外観デザインを一新した。

2001年マイナーチェンジで、リトラクタブルヘッドライトを廃止し新デザインになった。
2001年マイナーチェンジで、リトラクタブルヘッドライトを廃止し新デザインになった。

 また、タイヤサイズもフロント214/40R17、リア225/40R17に変更され、操縦安定性やコーナリングの性能を向上させている。

 そして、2002年5月にNSX-Rが登場。カーボンを採用したボンネットとリアスポイラーをはじM、リアディフューザーなどによってマイナスリフトの空力性能を実現。ダウンフォースを得ることで、高速領域での運動性能や操縦性能を向上させている。

 さらに、搭載されるエンジンは、量産エンジンの域をはるかに超えた高精度のバランス取りに加えて、ファイナルギアレシオの設定変更、DBWの専用セッティングにより、レーシングカーのようなレスポンスと力強い加速感を実現。

 加えて、ダウンフォース化に対応したサスペンションチューニングやシャシーチューニングによって高い走行性能を実現している。

 そして2005年12月に初代NSXは生産終了となった。約15年販売された初代NSXだが、現在どれくらい中古車が市場に出回っているのだろうか。

次ページは : 初代NSXの中古市場はどうなっている?

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