2020年6月に新型が登場したトヨタ「ハリアー」のように、一旦車種の廃止が決まったものの、フルモデルチェンジを行い延命という例は少なくない。
しかし、2003年に登場したコンパクトミニバンのトヨタ「シエンタ」は2010年10月に一旦生産終了となるものの、2011年5月にマイナーチェンジを行い奇跡の復活を遂げた。それぐらいシエンタはコンパクトミニバン市場で高い人気を誇っていたのだ。そして、奇跡の復活から4年後の2015年7月にフルモデルチェンジを行い、2代目となる現行型シエンタが登場した。
日本自動車販売協会連合会(自販連)がまとめた2019年1~12月の累計販売台数では、1位 トヨタ「プリウス」:12万5587台、2位 日産「ノート」:11万8472台、3位 トヨタ「シエンタ」:11万880台と、3列シートミニバンで1位(全体で3位)を獲得している。
今回は登場から間もなく5年が経過しても、コンパクトミニバンで圧倒的な人気を誇るベストセラーカーの「シエンタ」の中古車事情に迫ってみる。
文/萩原文博
写真/TOYOTA
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■個性派ながら大人気となったトヨタ最小ミニバン
2015年7月に現行型シエンタは、小さなサイズながら多彩なライフスタイルにマルチに応える「ユニーバーサルでクールなトヨタ最小ミニバン」として登場。そして、多彩なライフスタイルにマルチに応えるということを具現化した、車イス仕様車(助手席側セカンドシート付)を型式指定とするなど福祉車両を普通のクルマとして取り扱っている点はシエンタの美点のひとつである。
初代モデルは丸いヘッドライトを採用したファニーフェイスが特長だったが、現行モデルはトレッキングシューズをイメージとした機動性と動感をアイコニックに表現。
フロントライト周りや、サイドビューそして、リアコンビ周りにひと筆書きをモチーフとしたグラフィックを採用。特にフロントマスクは”歌舞伎顔”と呼ばれた。しかし、このような個性的なフロントマスクとなっても人気に全く陰りはなく、2019年(1~12月)の新車登録台数は11万880台で堂々の3位。ミニバンに絞れば圧倒的な差を付けて第1位となっている。
シエンタの人気の要因のひとつは全長4245mmというコンパクトな5ナンバーサイズのボディに、6人/7人乗りの3列シートをレイアウトしていることだ。
先代モデルに比べて、ゆったりサイズとなったサードシートは5:5分割可倒式を採用。さらに、折り畳むとセカンドシートの下にスッポリと収納されるダイブイン機能が付いている。こういった高いホスピタリティが小さなお子さんのいる家族に高く評価され、コンパクトミニバンにおいてシエンタは強いブランド力を発揮しているのである。
シエンタに搭載されているパワートレーンは、高効率の1.5L直列4気筒ガソリンエンジンと1.5Lガソリンエンジンとモーターを組み合わせたハイブリッドシステムの2種類。駆動方式は2WD(FF)を中心に、1.5Lガソリン車には4WDを用意する。燃費性能は、JC08モードでハイブリッド車は27.2km/L、ガソリン車でも2WD車は20km/Lを超える優れた燃費性能を実現する。
2015年7月に登場した現行型シエンタは、2017年8月に特別仕様車の「クエロ」を設定。上級グレードの「G」をベースに合成皮革とファブリックを組み合わせたコンビシートを採用。衝突回避支援パッケージの「トヨタセーフティセンスC」を標準装備するなど充実した装備が特長だ。
そして、2018年9月にマイナーチェンジを行い、内外装の変更を行うとともに、特別仕様車の「Gクエロ」をカタログモデルに昇格させ、2列シート5人乗りの「ファンベース」を設定。さらに、ハイブリッド車の燃費性能は28.8km/Lまで向上した。
2019年10月にはアウトドアユースを意識し、アクティブ感をプラスした特別仕様車の「グランパー」を発売。そして2020年1月には、通常オプション設定されているインテリジェントクリアランスソーナーを標準装備し、運転支援システムを充実させた「Gセーフティエディション」を立て続けに発売。
そして2020年6月には一部改良を行い、ヘッドライトのLED化をはじめ、上級グレードにはスライドドアに近づくだけで、自動的に開くウェルカムパワースライドドア機能を追加するなど利便性が向上した。
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