2020年8月1日、人気声優レーシングチーム・ヴォイスアクターズレーシングチーム(VART)ヴァートが、真夏の12時間耐久レースに挑戦した!
初めてフルメンバーで挑んだ耐久レースの結果は!?
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大人気声優レーシングチーム「VART」 熱血ドライビング合宿 完全密着レポート
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※本稿は2020年8月のものです。文中敬称略
文:プリウス武井/撮影:平野 学、HORONA/協力:VART委員会/BLITZ
初出:『ベストカー』 2020年9月26日号
■前回のドライビングトレーニング合宿の成果は活かせたか?
2020年8月1日に開催された、恵比寿サーキット主催の「エビス12時間耐久レース」にVARTが挑戦! ベストカーWebでもレポートした、6月末に実施された熱血合宿は、このレースに向けた布石だった。
VARTがレースにチャレンジするのは、今年1月の富士7時間耐久レース以来2度目。今回は初のフルメンバーでレースに臨んだ。超多忙のメンバーが全員参加できたのは、まさに奇跡的だ。
チーム監督の三間雅文と主将の三木眞一郎は、非公認レースながらもすでに4輪レースデビューは果たしているけれど、浪川大輔、石川界人、畠中祐は、ここがデビューレースとなる。
特に畠中祐は、若葉マークが手放せない初心者。まともに走れるのかスタッフ一同、初めてお使いに行く子供を見守るような気持ちだ。
8時10分から40分間の予選。浪川、石川、畠中はエビスサーキットを走行するのは初めてのため、予選の順位は捨ててコースを覚える時間に割くことにした。
まずは浪川がステアリングを握りコースイン。
しかし、今年からエビスサーキットでも導入されたFCY(※)のテストが発動されアクセルを床まで踏むことなく石川にドライバーチェンジ。
※FCYとは…フルコースイエローの略称。コース上でアクシデントがあった際、危険だと判断された時に発動される。FCY発動中は60km/h(サーキットにより違いがある)で走行して追い越し禁止。守らないとペナルティが課せられる。
石川には初めてのコースだから探りながら走るようにアドバイスしてコースイン。3ラップを消化したところ86が戻ってこない! 10%の下り勾配からの右コーナーの進入でブレーキングミスをしてオーバーラン。
ぬかるんだエスケイプゾーンに足を取られ堤防に接触して走行不能になった。レースマシンはクラッシュしてもドライバーを保護する装備は万全だから石川に怪我はない。でも精神的なダメージは大きいようだ。
走行不能になったマシンがピットまで運ばれてきた。BLITZスタッフがマシンに駆け寄り、すばやくチェック。見た目以上の損傷にレースは諦めムード。
そこに救世主が登場。三間監督だ。不測の事態に備え自腹で製作した2号機を持ってきていた。三間監督には申し訳ないが遠慮なくパーツを移植。
約2時間でマシンを修復したBLITZの技術力の高さを再確認した。
すでにレースはスタートしていたが86がコースイン。スタートドライバーは浪川。9時間30分後のチェッカーを目指す。予報に反して快晴となったエビスサーキット。
声優界でも有名な雨を操る男を封印したまま夏の暑さのなか浪川は約60分間の走行。暑さと戦いながら無事にピットに戻り、スタートドライバーとしての責任をまっとうした。
ピットでは畠中祐がスタンバイ。周囲にわかるほどの緊張と気合で86のシートに乗り込んだ。実は畠中、仕事の都合でお昼にはサーキットを出発しなくてはならなかった。
すでに11時を過ぎていたため畠中には「絶対に帰って来い!」と檄が飛ぶ。与えられた走行時間は約30分。
まだ免許を取得して4か月の初心者がヒール&トゥもままならないテクニックで、初めて走るサーキットでレースをするのは想像以上に難しい。
しかも速いマシンがたくさん走っている状況ではなおさらだ。メンバーはもちろんスタッフ一同、畠中の帰還を心から願った。
畠中は、この日のために忙しい合間を縫って三間監督とともに深夜のドライビングトレーニングを積んできた。重ねてきた努力は裏切らず与えられた周回数を無事にクリアしてピットイン。師匠でもある三間にバトンが渡った。
三間はクラストップのタイムで周回を重ねる。しかし、気温はグングンと上がりコックピットには風は入らず体力が奪われていく。
暑さで思考能力が低下していき、このままではまずいと自分で判断し、急遽ピットに戻ってきた。
降りてきた三間監督は熱中症寸前まで頑張った。58歳にして新たな挑戦をする三間監督は、おじさん世代の鑑だ。
次のドライバーは三木が務める予定だったが、サポーター対応の生配信中だったためドライバーチェンジができない。そこでオレの出番。
すばやくヘルメットをかぶりコースイン。三木が走れる準備ができるまで周回を熟すことに。
しかし、ピットアウトした瞬間、フロントガラスにポツっと雨粒が当たったかと思ったら、コースを1周する頃には雨が本降りになっていく。徐々に雨粒が大きくなりゲリラ豪雨に見舞われ、ワイパーがまったく役に立たないほどだ。
コースには池ができるほどの豪雨となりレース続行が難しいと判断され、赤旗中断。この後、約1時間45分もレースが中断するほどの大雨だった。雨を操る男、浪川師匠の威力はここで発揮されることになる。
レース運営スタッフのおかげでコースの水たまりが除去されレースが再スタート。時刻は16時45分。いよいよ主将三木が86に乗り込む。
ここまでステアリングを握らずモチベーションを維持するのはとても大変だったはず。それでもさすがチームの大黒柱だけあって冷静に60分間を走り石川界人に86が託される。
石川は予選でのミスを挽回したいのと、今度はミスできないというプレッシャーが入り混じり、緊張の面持ちでコースイン。予選でのドライビングミスをかき消すかのように走り続けた。石川がピットに戻ってきた頃には夜の帳が落ち始めていた。
再び浪川へドライバーチェンジ。暗くなった夜のサーキットへ86が吸い込まれていく。コース上の心もとない明かりとヘッドライトを頼りに走り切り三間監督にバトンタッチ。
三間監督も夜間のサーキット走行は初めて。チームのために自制心をもって約40分走り、最後のドライバー三木にマシンが託された。
三木は60分後のチェッカーを目指して爆走する。おそらく三木の心境は、三間監督が出したファステストラップを塗り替えるくらいの気持ちで猛烈にプッシュしていたはず。
しかし、7時間近く走行したタイヤでトップタイムを塗り替えるのは難しい。そんな状況のなか、1分16秒台での走行は立派だった。
9時35分、12時間耐久レースのチェッカー。トップがコントロールラインを通過した瞬間、花火が梅雨が明けたかのような空に上がった。
今日一日でさまざまなことが起こったが、レースを完走できたことと想定外の花火でチームスタッフも感動一色となった。
結果は総合13位クラス3位。予選でのクラッシュが響いて117ラップも周回遅れでのチェッカーだったが、8時間近くも走り切れたことはメンバーとチームにとっては収穫の大きい1日となった。
チームは次の目標に向かって動き出しているので、今後も応援宜しくお願い致します!
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