2020年9月に発表された新型フェアレディZプロトタイプは、今どき珍しくMTを搭載していた。新型フェアレディZプロトタイプのオンライン発表会の席上、日産の社長兼CEOの内田誠氏は「V6ツインターボエンジンと6速マニュアルトランスミッションでクルマと一体になって走りたい。そんなみなさんのために用意しました」とコメント。
やっぱりスポーツカーはMTでしょ! という昭和のクルマ好きは「同感」と頷いているかもしれない。
なぜそこまでMT車にこだわったのか、その裏には中古スポーツカー市場において、MT車が高騰しているのが原因ではないだろうか? そこで、中古車市場でMTとATの価格差を調べ、いかにMT車が高いのか考察してみた。
文/伊達軍曹
写真/ベストカー編集部 ベストカーweb編集部 トヨタ 日産 ホンダ ポルシェ フェラーリ
■中古スポーツカーのMT車の価格が高騰している
最近では「今どきMTにこだわるのは、石器時代の原始人並みに古くさくてナンセンス。」との意見もあるようだが、筆者はそうは思わない。
もちろん「AT車やDCT車よりMT車のほうが速い!」との認識は、近年では明らかに事実誤認であり、「MT車以外は車じゃない! ワシはATなんぞ一生認めんぞ!」と叫ぶ人も、視野が狭すぎて痛々しい。
だが、もしもクルマの運転ないしは所有というものを「人生における娯楽のひとつ」と考えるのであれば、トランスミッションの方式なんてものは「各自、好きなものを選べばいい」というのが正解となるのだ。
最新のDCTや多段ATより実はMT車のほうが微妙に遅かったとしても、我々はプロのレーサーではないのだから、そんなことは本当にどうでもいい。
「オレは自分の手と足と頭を使いながら、自分の意思で変速させるのが好きなんじゃああああ!」と思うのであれば、手足を動かすという余計な労力も、コンマ数秒の遅れについても、他人からとやかく言われる筋合いはない。堂々とMT車を買い、楽しみながら操作すればいいのだ。
だが問題は、「オレは自分の手と足と頭を使いながら、自分の意思で変速させるのが好きなんじゃああああ!」といま一度考えはじめた人が最近は多いようで、スポーティモデルにおいては「MT車の中古車相場」がかなり上がってしまったということだ。
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