バイクとクルマを両方手がけているホンダならではの優れたコンセプトだったモトコンポ。エンジン車を折りたたんでクルマに搭載するためには、通常モデル以上に燃料などの液漏れ対策が必要で密閉式タンクキャップなどが装備されていた。
そして今は電動バイクの時代に入りつつある状況で、もっと簡単に車載バイクが開発ができそうに思える。実際ベンチャー企業発の折り畳み可能なEVが話題になっており、ホンダなど老舗メーカーからも次の一手があってもよさそうだ。
なぜそれが難しいのか? かつてのモトコンポなどのエピソードなどを踏まえて解説していきたい。
文/市本行平、写真/市本行平、HONDA、YAMAHA、glafit
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■2輪と4輪の足し算を掛け算にするシティとモトコンポのコンセプト
1981年にシティと同時に発売されたモトコンポは、シティのトランクにすっぽり収まるサイズの50ccモデル。シティ搭載用として同時開発されたもので「トランクバイク」というこれまでにない新しいコンセプトが大きな話題になった。
モトコンポのパワートレインはロードパルSの2段オートマチックを採用し、難しい操作を必要とせずにバイクの楽しさや便利さをより多くの人に知ってもらうことも意図されている。
ホンダ社内にはモトコンポ以前から”6輪生活”という言葉があり、2輪と4輪を合わせて使うことでより豊かな生活が送れるという考えが底流にある。それは1967年のモンキーZ50Mに始まり、1969年のダックスホンダもクルマに搭載できるよう折り畳み式のハンドルや密閉式の燃料キャップなどを備えていたのだ。
モトコンポが新しかった点はこれまでの6輪生活の考えを推し進め、車載することを前提に企画されたことにあるだろう。ホンダは「四輪に二輪を搭載して行動することにより、バイクの機能とクルマの機能が掛け算的に広がる」と提唱しており、新しい使い勝手を生み出すことを目指していた。
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