高額商品である自動車を買うにはローンが欠かせない。金利の発生するローンは避けたいところであるが、安全装備が必須となって高額化が顕著となっている現状では一括で購入するのは難しい。
軽自動車で200万円以上、SUVで300万円以上というのものも多い。
ディーラーも売らんがためにあの手この手でローンを利用している。今回はそんなディーラーマンが使っている手法に迫りたい。
文/小林敦志
写真/AdobeStock(studiopure、Photographee.eu、Andrey Popov、alfa27、88studio、kei907、BillionPhotos.com、Paylessimages)
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■残価設定ローンの登場で変わる新車購入
日本では従来、新車購入での車両代金の支払方法では現金一括払いがほとんどであった。
いわゆる“ディーラーローン”というものは、一般的に購入する当該新車の所有権を販売したディーラーや融資した信販会社名義に支払期間中は“留保”することで、与信が通りやすく借りやすいのが特徴であるが、金利が高いのがネックであった。
金利が15%前後も当たり前で、10%を切れば「かなり低金利」とされていた。
一方で金利はディーラーローンより低いものの、金融機関の“マイカーローン”は与信が厳しいのが難点であった。しかも、金利や融資額は与信次第で個々人で変動してしまう。
分割払いが簡単にできるぐらいのメリットしかなかったディーラーローンであったが、“残価設定ローン”の登場で風向きが変わってきた。
日本国内ではもともと輸入車ディーラーが先んじて導入し、導入当初は“リース型”ローン”などとも呼ばれていた。取り扱い各車の3年後や5年後の残価率を設定し、この残価率をもとに算定した購入希望車の残価相当額を支払い最終回分として据え置くことで、月々の支払い負担が軽減されるのである。
さらに、残価分として据え置いた支払最終回の精算は、現金での相殺やそのまま再ローンが組めるだけでなく、当該車両の返却や同一メーカー車への乗り換えで清算可能、つまり残価分の現金での支払いが不要となるので、限りなくリースに近い性格を持つとのことで、リース型ローンとも呼ばれていたのである。
残価設定ローンは、前述したとおり支払最終回分の精算にはいくつかの選択が可能なのだが、導入するメーカーやディーラーでは、“同一メーカー車への乗り換え”、つまり顧客の囲い込みを狙うことをメインに導入しているので、そのまま同一メーカー車への継続的な乗り換えを狙っている。
そのような狙いもあるので、金利もかなり低めに設定するなど、戦略的に使いやすさを強調している。
残価設定ローンでは、月間利用距離(だいたい1000㎞から1500㎞)や、支払い最終回段階での外装の傷や内装の汚れなどのマイナスポイントが一定以上になると、追加払いが発生するのが利用条件として付帯される。
これは、ディーラーが3年後や5年後に当該車両を引き取り、再販することになるのだが、あらかじめ設定した残価を下まわらないようにするための措置となる。
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