2020年に新車として売られたクルマの37%が軽自動車だったが、コンパクトカーも25%前後に達する。毎月公表される販売統計を見ても、小型/普通車の上位には5ナンバーサイズのコンパクトな車種が並ぶ。
このなかで注目されるのがルーミーだ。もともと好調に売れるコンパクトカーだったが、2020年の後半には登録台数が急増した。2020年10月は1万1487台を登録して、コロナ禍の影響もあるのに前年の約1.7倍売れた。
設計の新しいヤリスが、ヤリスクロスの台数を除くと約1万台だから、ルーミーのほうが多かった。ライズの1万3256台に迫る。11月も9112台を登録して前年の1.3倍になった。12月は8792台で、これもライズの8912台に匹敵する売れ行きとなった。
2021年2月5日に発表された2021年1月の販売台数は1万939台(対前年比176.6%)で2位に躍進、その勢いはとどまることをしらない。ちなみに1位は1万8516台でヤリスが1位だった。
なぜルーミーがこれほど売れているのか? どこに秘密が隠されているのか? モータージャーナリストの渡辺陽一郎氏が解説する。
文/渡辺陽一郎、写真/ベストカー編集部、TOYOTA、SUZUKI
■ルーミーが大ヒットしている理由は?
●トヨタ ルーミー新車販売台数 2020年1~12月 カッコ内は対前年比
1月 ルーミー:9位、6193台(95.4%) タンク:13位、4893台(90.4%)
2月 ルーミー:8位、7682台(108.6%) タンク:12位、6159台(105.1%)
3月 ルーミー:8位、9700台(110.6%) タンク:13位、8261台(117.0%)
4月 ルーミー:8位、5104台(71.5%) タンク:12位、3891台(68.8%)
5月 ルーミー:7位、3713台(48.0%) タンク:14位、2511台(40.1%)
6月 ルーミー:9位、5230台(62.7%) タンク:19位、2743台(39.3%)
7月 ルーミー:9位、6528台(68.9%) タンク:18位、3601台(47.9%)
8月 ルーミー:7位、5617台(75.2%) タンク:17位、2792台(46.8%)
9月 ルーミー:7位、8084台(89.4%)※9月15日タンク廃止
10月 ルーミー:3位、1万1487台(165.0%)
11月 ルーミー:6位、9112台(127.8%)
12月 ルーミー:3位、8792台(97.8%)
■2021年1月の新車販売台数
1月 ルーミー:2位、1万939台(176.6%)
ルーミーが2020年10~12月に、対前年比を急増させるほど好調に売れた一番の理由は、2020年9月のマイナーチェンジで姉妹車のタンクを廃止したからだ。
以前はルーミーがトヨタ店とトヨタカローラ店、タンクはトヨペット店とネッツトヨタ店で販売していたが、2020年5月以降は、前述の4系列店すべてでトヨタの全車を扱うようになった。
そうなれば姉妹車は不要になり、登録台数の多かったルーミーを残して姉妹車のタンクは終了している。その結果、ルーミーに需要が集中して登録台数も急増した。
ちなみに2019年の10月は、ルーミーが6962台、タンクは5420台登録された。両方を合計すると1万2382台だ。対する2020年10月は、ルーミーのみになって1万1487台だから、姉妹車を合計すると登録台数は7%下がった。
同様の計算を11月で試すと31%減っている。12月は18%のマイナスに収まった。人気の下降が著しい車種では、対前年比が40~50%落ち込むから、ルーミー&タンクの姉妹車は、後者を廃止しながら相応の台数を保っている。
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