セルシオとレクサス LS。両車は日本と北米で、絶大な評価を受けたクルマだ。
しかし、2005年にセルシオが(国内で)LSへ統合されたのを境に、国内外の評価が大きく変わった。販売現場やユーザーからは、「なぜセルシオを無くしたのか」という声が今も聞こえてくる。
セルシオがLSになり何が変わってしまったのか。元トヨタディーラー営業マンであり、元レクサスセールスコンサルタントの筆者が、この問題を紐解いていく。
文/佐々木亘 写真/TOYOTA、編集部
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■輸入車への流出止めた! エース「セルシオショック」とトヨタの混乱
セルシオは1989年にデビューした。当時のバブル経済が後押しし、好調に販売台数を伸ばす。1994年には円高により、LSが北米での競争力を下げたことに起因し、セルシオもモデルチェンジを迎える。
2000年、北米起因だった2代目とは対照的に、日本市場を中心に考えた3代目を発表、再び人気に火を付けた。
バブル初頭、トヨタ販売店ではクラウンユーザーの流出が止まらなかった。クラウン以上のドライバーズカーが見当たらず、BMWやメルセデスなどへクラウンオーナーが流出する。セルシオは、輸入車に流出したクラウンオーナーをトヨタへ引き戻す原動力となったのだ。
トヨタ販売店の、セルシオに対する評価は高い。輸入車へ流出したオーナーを呼び戻したセルシオは、トヨタ店の救世主だったと、当時を知る営業マンは口々に語る。
2005年、レクサスの国内開業が決まり、セルシオは姿を消した。同時に、トヨタラインナップの頂上は空席となる。当時はクラウンマジェスタが代わりにトップを担うが、その後マジェスタも廃止され、現在はクラウンが、再びその座に戻ることとなった。
メルセデスやBMWにも負けないトヨタブランドを作ったセルシオだが、セルシオの力を信じ始めた矢先にドロップアウトし、トヨタ販売店は混乱している。その原因となったのが、レクサスの導入だっただけに、「トヨタの最上級」とは何なのだろうかという疑問が沸いてくる。
クラウンなのか、LSなのか、それともセルシオだったのか、トヨタ販売店には明確な答えが届かないまま、気づけば16年の歳月が経過していた。
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