並行輸入車の規制について、政府がパブリックコメントを募集を行っている(2021年3月21日まで)。SNSで多くの自動車関連の企業やジャーナリストを含む著名人が、「旧車などの並行輸入ができなくなる!」とシェアをしていた話題だ。
センセーショナルな話題として多くのクルマ好きのアカウントでシェアされ、なかばパニック状態となっている。政府の依頼で独立行政法人自動車総合技術機構が募集しているパブリックコメントで反対の投稿をしないと、法整備化されるというコメントまで登場した。
本当に並行輸入車が輸入できなくなるとは考えにくいのだが、ベストカーでは関係機関と識者に取材を行った。この規制改正の真の狙い、そしてこれまでのように並行輸入ができなくなってしまうのか、情報の真偽をお伝えしよう。
文/国沢光宏、写真/Adobe Stock(メイン写真=YY apartment@Adobe Stock)
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■厳格化イコール並行輸入禁止、ではない
3月9日に国土交通省所轄の独立行政法人自動車総合技術機構のWebサイトで「並行輸入自動車の事前審査書面等の明確化等について」(並行輸入車の審査を厳格にするという内容)というパブリックコメントを募集すると発表されるや、並行輸入業者が「事実上の並行輸入禁止だ! 酷い!」とツイッターなどSNSで大キャンペーン! 大炎上することになった。
果たして真相は?
もう少し状況を掘り込んでみたい。この件を「並行輸入禁止」と解釈した人は、厳格化により「並行輸入車は登録をする際にメーカー書類が必要になる」と解釈したようだ。
実際問題として並行輸入車に対し、メーカーから必要書類なんか出ません。そもそも自動車メーカーからすれば、いろんな意味から「正規ルートで買って欲しい」。
メーカーが出した必要な書類を揃えなければ登録させない=並行輸入禁止を意味すると考えたワケです。私ら、こういった時に考えるのは「なぜ自動車総合技術機構が厳格化をしようとしたのか?」ということ。
そもそも並行輸入って自動車を世界中に販売している我が国からすれば、絶対に必要なもの。禁止したら世界中から「閉鎖的な市場だ!」と叩かれます。
だからこそ我が国は輸入車に対する関税無し! 並行輸入も積極的に認めていきましょうという立場を取っている。世界中で自動車やバイクの並行輸入が日本ほど緩い国など無いと言って良いほど--そんな日本で厳格化しようというのは、何か理由あってのことだと考える。
どうして自動車総合技術機構はこの時期に厳格化を打ち出したのか?
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