搭載するエンジンによって収める税金が決まる自動車税。乗用車の場合、1.5L以下は年額3万4500円。1.5L超〜2L以下は3万9500円となっている。
GRヤリスのように走りに磨きを掛けたホットハッチには1.6Lエンジンが搭載されているが、わずか100cc大きいだけで、2Lエンジンと同じ3万9500円の自動車税が課税されるのだ。
しかし、1.5Lエンジンと“テンロク”と呼ばれる1.6Lエンジンではこの5000円の自動車税よりも大きな違いがあるのだ。かつて人気のあったグループAカテゴリーレースの最も小さな排気量の「3クラス」は搭載するエンジン排気量は1.6L以下というレギュレーションだった。
そのほか耐久レースやラリーなども1600ccがクラスの最大排気量という区分けになっているのだ。この結果、“テンロク”と呼ばれた1.6Lエンジンは、レースに勝つために開発されたスペシャルエンジンという色合いが強いのだ。
そこで、今回は1980年代後半から90年代前半に若者が熱狂したテンロクスポーツカーの中古車相場の現在を追った。
文/萩原文博、写真/トヨタ、ホンダ、三菱
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■1980年代~1990年代のあの頃が懐かしい!
昭和63年12月に免許証を取得し、元号が昭和から平成に変わった日に晴海で開催されている「東京オートサロン」を見に行っていた筆者は、この“テンロク”が盛り上がっていたど真ん中の世代だ。
日産スカイラインGT-Rが16年振りに復活する国産車のヴィンテージイヤーである1989年前夜のチューニング雑誌では、必ずトヨタの4A-GとホンダのZCという“テンロク”バトルが繰り広げられていた。
20歳そこそこの筆者も初の愛車であるワンダーシビック(残念ながら25i)を駆り、夜な夜な走り回る走り屋気取りの小僧だった。
自分の愛車が1.5L、直4SOHCエンジンを搭載したモデルだったからこそ、“テンロク”エンジンを搭載したカローラレビン/スプリンタートレノ、シビックSiは憧れであったし、アフターパーツの充実度が違っていた。
こういう点においても“テンロク”エンジンはレース仕様として開発された高いポテンシャルに加えて、チューニングの幅が広く自分の好みに仕上げられる楽しさがあったのだ。
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