2017年12月25日、現行型アルファード/ヴェルファイアがビッグマイナーチェンジを実施。あれから4ヶ月が経過した。
フロントマスクの大幅変更のほか、V6エンジン仕様車に8ATを設定したり、安全装備を充実したりとかなり大掛かりな変更を加えたが、果たして売れ行きはどうか? そして(なかなか初期受注では分かりづらい)あのド派手になった「顔」の評判はどうなのか?
流通ジャーナリストの遠藤徹氏に改めてトヨタの各ディーラーを回っていただき、「生の声」を集めてもらった。
文:遠藤徹
■昨年末以降、両車の売れ行きに動きは?
新車登録台数を見ると、3月単月でアルファードは7213台と前年同月比44.9%増、ヴェルファイアは5517台、同15.6%減。2018年1〜3月累計で見ると、アルファードは1万4534台、前年同期比21.8%増、ヴェルファイアは1万36660台、同19.7%減となっており、明暗を分けている。
アルファードは売れゆきを伸ばし、ヴェルファイアは落としているのだ。
ビッグマイナーチェンジ以前までは販売上ヴェルファイアがつねにリードしていたが、現行モデルでは姉妹車構成になってから初めてアルファードがリードする形になっている。
この理由として首都圏にあるトヨペット店の営業担当者は、
「売れ筋となっているエアロモデルの顔つきの違いが大きい。ヴェルファイアは押し出しの強いド派手なマスクで若者受けする顔立ちだが、あまり個性的すぎて好き嫌いが分かれる。これに対して新型アルファードは、ヴェルファイアより地味だが幅広い層に受け入れられるデザインのよさがあり、従来モデルのヴェルファイアから、現行のアルファードに乗り換えるケースも目立っている」
と明かす。
ただ、ヴェルファイアも人気が落ちているわけではない。
「ビッグマイナーチェンジ以前はアルファードより人気が高かったというだけで、根強い販売の地力はキープしている。アルファードを除けば、ライバル他社のエルグランドやオデッセイを大きく引き離している」(首都圏ネッツ店営業担当者)
と胸を張る。
■あの「ド派手顔」、どうなの?
フロントマスクに対する販売店サイドの受け止め方は、
「アルファードは若者から中高年の幅広い層で受け入れられており、エアロも標準両タイプとも自信をもってお客さんに勧められる」(トヨペット店)
と明るい表情を見せる。
これに対してネッツ店は、
「今度のヴェルファイアはエアロシリーズが派手で好き嫌いは確かにあるが、好みでなければ、おとなしめの標準タイプも用意しているのでそれほど不満はない」
とコメントしており、両陣営とも肯定的に受け止めている。
つまり、あの「顔」は(買わない人、売らない人にはすこぶる評判がよくない面がありながらも)実際に買っている人、売っている人には、大変好評だということだ。な、なるほど。
両モデルとも4月中旬現在の納期は5カ月待ちの9月中旬であり、多数のバックオーダーを抱え、生産が追いつかない状況にある。
売れ筋はスポーティ仕様であるエアログレードの2.5S(アルファード)と2.5Z(ヴェルファイア)の7人乗りで、これがシリーズ全体の半分以上を占める。
売れ行きが頭打ちになっているのはハイブリッド車で、販売構成比は10%そこそこにとどまっている。
「車両価格がNAガソリン車に比べて約90万円も高い上に、燃費は実用域で3km/Lくらいしか違わない。これだとガソリン代で元を取ろうと思うと、年間1万km走って10年間乗っても追いつかない」(トヨペット店、ネッツ店)
という。
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