マツダが2021年1月下旬に、『MX-30 EV』を投入した。レンジエクステンダーはまだにせよ、マツダが投入したかった、ニッチ市場を狙ったMX-30のグレードがとりあえずそろった格好になった。
マツダはSUVに特化したラインナップで勝負すると宣言しているが、現在マツダがやってることは、トヨタのSUV全ラインアップ戦略に近いのではないだろうか? それでも大成功しているように見えない要因はナゼなのか……考察していきたい。
文/渡辺陽一郎
写真/MAZDA、編集部
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■綿密なマツダSUVのラインナップ
マツダはクルマ好きのユーザーが多いメーカーといえるだろう。かつてはロータリーエンジンを幅広い車種に搭載してブランド力を高め、今でもスポーティなクルマ造りを特徴にしている。
2012年に発売された先代CX-5以降のマツダ車は、OEMを除くと、魂動デザインとSKYACTIV(スカイアクティブ)技術に基づいたクルマ造りを行う。外観のカッコよさ、運転の楽しさに魅力があり、走りよりも空間効率を追求した3列シートミニバンを用意しない数少ないメーカーでもある。
ミニバンを用意しない代わりにSUVの車種数は多く、5車種を設定している。OEMを除いたマツダ車は全部で9車種だから、半数以上をSUVが占める。今は日本国内、海外の両方でSUVの人気が高く、このカテゴリーを充実させるのは当然の成り行きでもあるだろう。
それにしてもマツダのSUVラインナップは綿密だ。CXシリーズとしては、最もコンパクトな『CX-3』(全長:4275mm)、『CX-30』(全長:4395mm)、ミドルサイズの『CX-5』(全長:4545mm)、3列シートを備えたLサイズの『CX-8』(全長:4900mm)という4車種がある。
これらの内、CX-3、CX-30、CX-5については、全長が120~150mm刻みに設定されている。CX-8は3列シートを備えることもあり、CX-5に比べて355mm長い。
さらにCXシリーズとは異なる『MX-30』は、CX-30とほぼ同じサイズながら、観音開きのドアを採用して内装にはコルクを使う。独特のリラックスできる雰囲気に仕上げた。MX-30はメカニズムにも特徴があり、直列4気筒エンジンをベースにしたマイルドハイブリッドと、エンジンを搭載しない純粋な電気自動車を用意する。
マツダの充実したSUVラインナップは、トヨタに似ている。トヨタもコンパクトサイズとして、マツダのCX-3に相当する『ライズ』と『ヤリスクロス』、CX-30やMX-30と同サイズの『C-HR』を用意する。ミドルサイズ以上では、CX-5に相当する『RAV4』、価格まで含めるとCX-8のライバルになる『ハリアー』も選べる。
このほかトヨタでは、マツダが用意しない後輪駆動ベースの悪路向けSUVとして、『ランドクルーザー』と『ランドクルーザープラド』もそろえる。このようにマツダとトヨタは、SUVの商品構成が似ている。
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