トヨタセンチュリーにまつわる数々の疑問を元営業マンが解説

トヨタセンチュリーにまつわる数々の疑問を元営業マンが解説

 トヨタのショーファードリブン(編注:いわゆる運転手付きの高級車)「センチュリー」は、1967年に誕生し、現行型で3代目となる。官公庁の公用車、企業の社用車で使用されることが多く、御料車としてのイメージも強いだろう。

 日本車の中でも別格の存在であるセンチュリーは、購入に対しての厳しい条件があるといった噂が耳に入る。実際のところ、センチュリー購入には大きな壁があるのだろうか。

 本稿では、実際にセンチュリーを取り扱っていた、元トヨタディーラー営業マン(トヨタ店勤務)の筆者が、センチュリー購入に関する疑問を解決していきたい。

文/佐々木亘、写真/TOYOTA

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■センチュリーは普通に購入できないクルマなのか?

1967年に誕生したトヨタ センチュリーは現行型で3代目となる
1967年に誕生したトヨタ センチュリーは現行型で3代目となる

 センチュリーの販売に関して、「条件」や「特別」などと検索すると、多くの噂話を見つけることができる。

 「普通にディーラーに行っても購入できない」、「購入希望者は審査を受ける必要がある」など、一般的なクルマの買い方とは遠く離れた、センチュリーの購入方法が載っている。

 まず初めに、これらの情報はあくまで噂話のひとつと理解していただきたい。筆者が勤務していたトヨタ店では、センチュリー販売に関して、特別な条件や方法などは規定されていなかった。センチュリーは、誰でも普通に購入できるクルマである。

 ただし、高額なクルマであり、生産体制も特別であるため、注文後にキャンセルとなると、販売店は具合が悪い。車両本体価格2008万円のクルマがキャンセルとなるのは大事件なので、他のクルマよりもより慎重に販売対応を行っているのが現実だ。

 例えば、クラウンやハリアーなど、台数が多く出るクルマであれば、万が一キャンセルが出たとしても、在庫車として他のユーザーへ販売できる可能性はある。

 新車販売が難しければ、一旦試乗車や社用車として登録し、半年ほど使用した後に、中古車として販売こともできるだろう。(とはいえキャンセルは販売店にとって大きな打撃となる。安易な気持ちでは絶対におこなわないでいただきたい。)

 販売条件や購入資格という具体的な指標はないが、信用できる人かどうかを見極める作業をおこなうのがセンチュリーの販売だ。もちろん他車種でも同様の見極めは行われており、センチュリーの販売に限ったことではない。

 トラブルを回避するための、販売店がおこなう一般的な動きが、センチュリーの販売でもおこなわれているということだ。

次ページは : ■購入代金の一部先払いを「お願い」するケースも

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