■購入代金の一部先払いを「お願い」するケースも
すでに何十年もの付き合いがあり、良好な関係にある顧客に対しては、センチュリーでも他のトヨタ車でも、普通に契約し納車されるだろう。販売店と顧客との信頼関係があれば、特別な対応は必要なくなる。
信頼関係を構築できていない初取引の購入者に対しては、慎重に対応せざるを得ない。センチュリーを購入検討する理由や、その使い方などを聞き取りしながら、購入希望者がどのような人なのかを感じ取っていく。
センチュリーは、カタログを簡単に渡して、契約書だけもらえばいいというクルマではない。したがって、カタログも簡単には手に入らないだろう。
そもそも、センチュリーのカタログ原価は、他車種の数倍高い。ハードカバーの書籍を普通に購入できる金額なので、販売店によっては仕入れる量も少なく、常設していないお店も多いのが実情だ。
契約時には、お願いベースとなるが、車両購入代金の1割程度を、契約時に先払いしてもらうケースがある。オーダー後に注文者が行方知れずになるのを防ぐ目的だ。しかし、あくまでお願いであり、前金の支払いが購入の「条件」ではない。
購入から納車、そしてその後のメンテナンスでのお付き合いまで、滞りなく進んでいくことが、センチュリー販売での至上命題だ。
反社会的勢力や販売会社自身が取引を中止している相手以外には、「売らない」と断られることはないと思うので、購入検討される際には、できる限り営業マンの情報収集に協力してあげてほしい。
■転売等から守るために……買った後もきめ細やかなメンテナンスを促進
購入から納車までは、もちろん重要であるが、納車後にすぐ姿を消されるのもよろしくない。そのため、納車後には定期的な点検整備入庫を促進する。
新車で購入した場合、直近1年間に受ける点検は3回ある。1か月、6か月の無料点検、そして12か月の法定点検だ。その後は半年ごとに点検サイクルが組まれ、3年後の初回車検に行きつく。
これはプリウスでもセンチュリーでも同じ流れだ。アフターサービスがセンチュリーだからと、特別に変わることはない。
何かしらの理由をつけて、アフターサービスを受けたがらない顧客は、営業マンから見ると要注意だ。中には買取業者とつながっていて、納車直後に高額転売しているなんてこともある。実際に筆者の在職中、他店舗で横流しの事件があり、注意喚起の通達を何度か見たことがある。
特にランドクルーザーやセンチュリーで多いのが、海外転売をおこなうケースだ。違法なルートで輸出されることもあるため、犯罪を未然に防ぐという意味でも、クルマの納車後管理は、ディーラーの重要な仕事となる。
手作業が多く、丁寧に製造されるセンチュリーだからこそ、トヨタディーラーで最高のメンテナンスをおこないたいという気持ちもあるだろう。販売・契約・納車・アフターサービスまで、トヨタ販売の最高技術を投入して、成立するのがセンチュリーの販売になる。
センチュリーは、単なるショーファードリブンではない。日本の中で最も高貴で、最も誇り高きクルマのひとつだ。センチュリーのブランドを守るため、トヨタ販売店では、今日も適切で丁寧な取り扱いが続いている。
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