ついに、マクラーレンとフェラーリがプラグインハイブリッドのスーパーカーを発表した。マクラーレンアルトゥーラとフェラーリ296GTBだ。ランボルギーニもアヴァンタドールの最終ガソリンNAエンジン車を発表、電動化の道筋についても明らかにしている。
もはやスーパーカーは電動化が免れないのか? そこで、スーパーカー評論家の西川淳氏に、スーパーカーの電動化について、現状の分析と、今後スーパーカーは電動化が必須なのか、解説する。
文/西川淳
写真/フェラーリ、ランボルギーニ、マクラーレン、ポルシェ
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■ランボルギーニもフェラーリも電動化へ
スーパーカーの電動化なんて意味ないんじゃないか。そう思う方も多いことだろう。台数は少ないし、距離だってさほど走らないし、そもそも存在自体がアートのようなものなのだから、あえてそんなことしなくても……。
もちろん当のメーカーだって同じように思っているに違いない。先だってランボルギーニCEOのステファン・ヴィンケルマンも筆者とのオンラインミーティングでこう語っている。
「我々(=スーパーカーブランド)がカーボンニュートラルに向けた大きな筋道を決めているわけではないし、最大限の努力をしたところで世界的なCO2の削減に大きく寄与するわけじゃない」、といみじくもその本音を代弁した。
けれども世界に対するイメージを変えることはできる。スーパーカーは“不要不急の速いクルマ”だとはいうものの、それを購えるような世界のミリオネア&ビリオネアには社会的なイメージを大切にする人が多い。
彼らに対して(買う・買わないは別にしても)環境問題に無関心だという誤ったメッセージだけは出したくない。ましてやそのブランドが世界的なメーカーの傘下であったりした場合に、グループ内での理想とも矛盾も生じかねない。
そもそもスーパーカーとはイメージで売る商品だ。その性能や機能を使いたくて買うわけではないことが、実用車との最大の違いだと言っていい。時速400キロ出したいから買うわけじゃないのだ。
だからこそ、(電動化しておかないと)将来売れなくなってしまうという危惧よりも、排出量などのレギュレーション違反によって罰金を支払うリスクよりも、まずはイメージを大切にしておきたい商品なのである。そして何より、さらにいっそう高い(けれども容易には解放できない)パフォーマンスを得るためにも!
だからスーパーカーの電動化は必須である。そのことはこれまで散々噂されてきたメジャーブランドの電動化戦略が今年になって次々と具体化したことからも分かるだろう。
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