■296GTBの性能はどうなのか?
動力性能を表す数字を見るとさらに興味深い事実に気づくだろう。296GTBの0→100km/h加速そのものはF8トリビュートと変わらないし、アルトゥーラも負けずと追いすがっている。
差が出るのはその先で、0→200km/hとなると296の圧勝だ。エンジン単体の高性能が効くのだ。また200km/hから停止までの性能も296は107mとアルトゥーラの126mを引き離した。
296GTBが現在のF8シリーズに相当するメイン機種になるであろうことは、その総合性能からも明らか。
マラネッロラインナップにおける各モデルの位置付けは、価格や伝統に思いを巡らせて考え込むよりも、公式発表されるフィオラノラップタイムランキングをみて判断するのが最も手っ取り早く、そして正確だ。296GTBは1周およそ3キロのF1開発用コースを1分21秒で走る、とマラネッロは発表した。
実際にそのタイムで走ることがもはや重要ではない。ランキングが大事なのだ。296のポジションは、F8(1分22秒5)や488ピスタ(1分21秒5)より速く、SF90(1分19秒)や812コンペティツィオーネ(1分20秒)より遅い。そういうことである。
それにしてもアルトゥーラにしろ、この296GTBにしろ、データ発表だけでこれほどファンをヤキモキさせるモデルは久々ではないか。スーパーカー慣れしているはずの筆者も普段は滅多に書かないスペック比較の手書きメモを作ってこの原稿を書いている。
スペックは誰がみても同じ数ではあるけれど、そこに込められた物語を見つけるという作業もまた楽しいものだ。スーパーカーは走らせなくても楽しい存在であることが改めてわかったし、未来のスーパーカーにもまだまだ期待できそうだ。
フェラーリやマクラーレンだけじゃない。ランボルギーニもここ数年のうちに全ラインナップをプラグインハイブリッドにすると宣言した。
SUV のウルスに関してはすでに姉妹モデルたち(ポルシェカイエンやベントレーベンテイガ)がそれを終えているので想像はたやすいが、いわゆるスーパーカーシリーズまでプラグインハイブリッドとなるというから期待したい。
ウラカンはV10自然吸気をついに諦め、エンジンをダウンサイジングして、296GTBやアルトゥーラの存在を意識したモデルになることだろう。そして最も期待して待つべきは12気筒エンジンを生かしたプラグインハイブリッドとなることがわかったアヴェンタドールの後継フラッグシップモデルだ。
サンタガータは2021年7月7日、ランボルギーニ最後のV12、自然吸気エンジン搭載モデルとなるアヴェンタドールLP780-4 Ultimaeを発表、クーペの350台とロードスターの250台、計600台限定で販売される。これをもう1年作ると考えれば、後継モデルの発表は早くて来年早々から春ということになるだろう。
各ブランドとも2025年以降にはピュアEVモデルを登場させるのは間違いない。原稿を書き終えようとしたまさにこの瞬間にも、ブガッティが電動スーパーカーの雄、リマック(クロアチア)とポルシェによる新会社に移行されると衝撃のニュースが飛んできた。
電動時代を迎えてなお、スーパーカーには夢と希望と物語がありそうだ。
■参考:フィオラノラップタイム ロードカーランキング Best10
1位:SF90ストラダーレ 1分19秒
2位:ラ・フェラーリ 1分19秒7
3位:812コンペティチオーネ 1分20秒
4位:296GTB、F12tdf 1分21秒
6位:812スーパーファスト、488ピスタ 1分21秒5
8位:F8トリビュート 1分22秒5
9位:F12ベルリネッタ、488GTB 1分23秒
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