現在、トヨタのラインナップで「カローラ」の名がつくクルマは5台ある。カローラ、カローラスポーツ、カローラツーリング、そして旧型を継続販売しているカローラアクシオ、カローラフィールダーだ。
2018年にカローラスポーツが登場し、翌年セダンとツーリングも発表。カローラが3ナンバー化すると大きな話題になったのが、記憶に新しい。
大変革したカローラのなかで、変わらず生き残ってきたのが、アクシオとフィールダーだ。2012年に登場し、2度のマイナーチェンジを経て現在も販売を続けている。
先日、別エントリーにてカローラアクシオとフィールダーの生産終了に関する記事を掲載したが、追加取材により、両モデルの生産は継続され、しばらくこのまま販売も続けることが新たにわかった。
さて、カローラの世代交代は済んだはずだが、新型の発売から約2年経ってなおトヨタがアクシオとフィールダーを残す意味はどこにあるのか。元トヨタディーラー営業マンの筆者が解説していく。
文/佐々木亘、写真/TOYOTA、AdobeStock
【画像ギャラリー】貴重な5ナンバーセダン&ステーションワゴン!! まだまだ存在意義があるカローラ アクシオ&フィールダー
■実は新型カローラと同等に売れているカローラアクシオ&フィールダー
2021年5月のカローラシリーズにおける、新車販売台数は次のとおりだ。
・カローラ/920台
・カローラツーリング/3300台
・カローラスポーツ/1180台
・カローラアクシオ/810台
・カローラフィールダー/1110台
ツーリングだけは頭ひとつ抜けているが、カローラとアクシオ、カローラスポーツとフィールダーの販売台数は大差ない。刷新されたカローラと旧型カローラが、同程度売れているのが現状だ。
アクシオとフィールダーで特筆すべきは、5ナンバーサイズのセダン(ステーションワゴン)ということだけで、質も機能性も新型カローラが上手のはずだが、この売れ行きはどういうことなのか。販売現場で声を聞いてみると、旧型カローラが売れる理由がわかってきた。
■なぜ売れる? トヨタ4チャネルで大きく異なる存在感
かつてはマイカーの代名詞ともなっていた5ナンバーセダン・ステーションワゴンは激減した。現在5ナンバー車で販売の主力となっているのは、コンパクト・ミニバン・SUV・ハイトワゴンである。
この絶滅危惧種ともいえる、アクシオ・フィールダーの売れ行きを、トヨタ各チャネルで聞いてみた。
まずは、ネッツ店。アクシオ・フィールダーは、ほとんど売れないという。5ナンバー車を求めるユーザーは、ヤリスやルーミーなどを購入していき、旧型カローラがラインナップから無くなっても、大きな影響はないようだ。
もともと専売していたカローラ店でも、反応は薄い。現在のカローラオーナーに、アクシオやフィールダーを勧めることはほとんどなく、3ナンバー化した新型カローラを筆頭に、併売化され多彩になったラインナップを広く提案するという。
個人ユーザーに関しては、5ナンバーや3ナンバーという、こだわりが少なくなっていると話していた。
ネッツ・カローラと異なる反応を見せたのは、トヨペット店とトヨタ店だ。アクシオ・フィールダーは一定数ずつ売れていき、欠かせないラインナップのひとつだというのだ。
この2チャネルには、プレミオ・アリオンのユーザーがいる。5ナンバーセダンを求める個人ユーザーだ。そして元来、法人客の多いチャネルであり、法人の中では、商用車ではなく、乗用車を求める会社も多い。
営業スタイルにも特徴がある。トヨタ店・トヨペット店では特に、法人に特化した営業マンが多い。
法人営業部や特販部と呼ばれる部署を作り、法人向け車両をメインに販売する。大規模法人や官公庁を専属で担当し、個人向け販売とはケタ違いの販売台数を誇るチームだ。このチームが旧型カローラを販売していくという。
アクシオやフィールダーは、トヨタ店とトヨペット店が中心となり販売を加速させている。貴重な5ナンバー車として、法人需要を取り込み、現在も活躍の場を広げているのだ。
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