トヨタは人気のSUV市場向けに多くの車種をそろえているが、2021年9月にカローラクロスを追加し、ラインアップのさらなる強化を行った。一方ホンダも2021年4月にヴェゼルのフルモデルチェンジを行っている。
このライバル同士はともに販売好調だが、購入後の納期がともに長くなっている。そこで両車の販売現場にて人気のポイントについて取材した。
文/小林敦志、写真/ベストカー編集部、TOYOTA、NISSAN
■トヨタ カローラクロスが日本にも登場!! でも顔が違う!?
昨年7月にタイでワールドデビューを果たして以来、たびたびメディアで「日本でも販売されるぞ」との報道が続いていたトヨタ カローラクロスが9月14日、ついに日本国内で正式発売された。
しかし、正式発売のタイミングで日本仕様を見て驚いたひとも多いはず。タイでワールドデビューをはたし、その後ASEAN各国やブラジル、そしてアメリカなどでデビューしてきたモデルとは顔つきがまったく異なるのである。
「縮小傾向の進む日本の新車販売市場だけに向けたものではない」と考えるクルマ通も多いはず。そして、日本仕様の顔つきは中国におけるトヨタの合弁パートナーでもある広州汽車が好むものでもあるので、その線でいろいろ情報取集することにした。
中国市場でもカローラクロスはトヨタの現地合弁会社のひとつである一汽豊田(中国一汽/FAWトヨタ)で製造され、来年発売予定となっているようだ。
一方で、もうひとつの中国での合弁会社である、広汽豊田(GAC[広州]トヨタ)では、カローラクロスの兄弟車となる、“フロントランダー(鋒蘭達)”が中国国内では11月に開催される広州モーターショー会場もしくは、その開催のタイミングに合わせてデビュー予定となっている。
そして、このフロントランダーこそが、日本仕様のカローラクロスの顔つきをしているのである。
日本仕様以外の顔つき、つまりグローバルフェイスについては、一部海外メディアでは某愛玩犬に似ているとしながら、「可愛い」と評価している。日本国内ではクルマ以外でも“可愛い”という評価は最大の賛辞のひとつとなるが、海外、とくに先進国での“可愛い”という評価はその逆の意味をなすことが多いようだ。
3代目日産マーチが欧州でデビューした時も、「パイクカーみたいで可愛い」という評価を一部でされていたが、これも決して“褒め言葉”ではないのである。
日本では女性が“可愛い”イメージの強いクルマを所有することが多いが、海外では女性だから可愛いクルマに乗ると言ったことはない。キャリア志向の高い女性ほど、そもそもはスポーツクーペに乗っていたが、いまではアグレッシブイメージの強いSUVなどに好んで乗っているそうだ。
かつて日本以外の多くの国々で若い女性の間で初代ジュークに乗るのが流行ったこともあるが、とにかく日本とその他の世界ではクルマのトレンドが異なることが多いのである。
だからといって、日本仕様のカローラクロスが広汽豊田のフロントランダーの顔つきを採用したというわけでもないだろう。
日本のカローラセダンは全長やホイールベースを短くし、全幅を狭めた“ナローボディ”であるが、その見た目はやはり広汽豊田でラインナップされている、カローラセダンの兄弟車“レビン(こちらはグローバルサイズ)”と共通となっているので、同じ流れを汲んだだけともいえるのだ。
なお、アメリカ仕様のカローラクロスでは、ガソリン車に2Lダイナミックフォースエンジンが採用されている。日本やASEANなどでは1.8L(日本はバルブマチック仕様)となっている。
さらにアメリカではHEV(ハイブリッド車)は2023年モデルでラインナップ予定となっている。これは、アメリカ市場がまだ、HEVも含んだ電動ユニットではなく、純粋なガソリンエンジンありきのクルマ社会であることを物語っているように見える。
消費者の多くが迷うことなくガソリンエンジンを選ぶからこそ、アメリカのカローラセダンでは一部グレードにしか搭載しない、2Lダイナミックフォースエンジンが売れ筋SUVのカローラクロスでは全車に搭載されることになっているのだろう。
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