受注好調のカローラクロスと猛追する新型ヴェゼル!! 両車の人気の秘密とは!?

■カローラクロスの納期遅延は人気プラス部品供給不足か

カローラクロスの納期遅延は部品の供給不足もあるだろうが、受注もおおむね好調のようだ
カローラクロスの納期遅延は部品の供給不足もあるだろうが、受注もおおむね好調のようだ

 さて、そのカローラクロスの日本発売直後の販売状況を販売現場で聞くと、「発売になるやいなや、納期は来年(2022年)3月以降になると本部から連絡がありました。それでも受注は好調なペースでいまもいただいております(取材時)」との様子。

 発売後しばらく経ってから再びトヨタ系ディーラーを訪れると、「ご納車については、2022年5月以降とご案内させていただいております。夏以降にずれ込む可能性もあることを理解していただければ幸いです。はっきりいって、私どもでは何も正確な情報が把握できない状況となっております」とのことであった。

 もらった価格表を見ると、欄外に“Sグレードは2022年2月以降生産開始予定(KINTOを除く)”と記してあったので、この点を聞くと、「われわれ一般ディーラーへ供給する分とは別に、KINTO(トヨタの個人向けカーリースサービス)向けに生産枠が用意されており、KINTO向けのSグレードはいまも生産されているそうです」と説明してくれた。

 これは、カローラクロスだけの話ではないが、新型車がデビューして3カ月ほどは“新型車需要”ともいわれるのだが、例えば「カローラクロスがデビューするのを待っていた」といった、指名買いするひとが多い。

 そのようなひとは上級グレードを選ぶ傾向が強いということを考慮し、デビュー当初に生産する仕様の絞り込みを行い、できるだけ納期を長引かせないようにしようとの新たな試みをカローラクロスで実施しているようなのである。また、SグレードをKINTO向けだけに現状でも生産しているのは、KINTOの利用促進につなげようとの狙いがあるようだ。

 それでも全体で納期がすでに来年3月以降となってしまったのは、単に受注が集中しているだけでなく、ASEAN地域からの部品供給不足なども影響しているようである。

「展示車を探しているが、どの店にもない」と聞くと、「ご承知の通り、いまは部品の問題もあり新車の生産が滞っており、深刻な納期遅延となっております。カローラクロスも展示や試乗車を潤沢にご用意できる状況ではありません。そのため、店舗間にて1台の試乗車を持ち回りで融通しあっています」とのこと。

 実は、いま市場に流通しているカローラクロスはガソリン車のみとなっているのである。HEV(ハイブリッド車)は初期ロッド(初めてディーラーへ配車する車両)分についても配車の目処がたっていないのである。

 このような販売環境に逆風が吹くなかでも、業界事情通によると、「カローラクロスについては、正式発売前、つまり予約受注段階でセールスマンそれぞれに“ひとり3台”を目標に予約受注をとるように指示が出ていたディーラーがあったそうです。

 そして正式発売後も納期が来年5月以降となるのに、デビュー月である9月に“ひとり1台受注必達”といったお触れが出たとの話をきいております。

 全体的に部品の問題もあり納期が読めないなかで、長期の納期遅延車の販売にディーラー本部が“ハッパ”を一生懸命かけてくる様子には、どこか焦りのようなものも感じますね」とのこと。

■カローラクロスの焦りの裏にはヴェゼルの影が!?

カローラクロス同様好調な売れ行きを見せるホンダ ヴェゼル
カローラクロス同様好調な売れ行きを見せるホンダ ヴェゼル

 デビューすればヒット間違いなしともいわれたカローラクロスの販売促進に“焦り”があるならば、その原因のひとつはホンダ ヴェゼルのヒットがあるだろう。

 現行ホンダ ヴェゼルは今年4月に正式発売されている。

 月販計画台数5000台を達成したのは7月だけだが、ここ最近は部品の供給問題もあるし、詳細は後述するがヴェゼル事態にも、一部グレードで深刻な生産遅延が発生しているので、販売計画台数をクリアしていないからといって、販売苦戦ともいえないし、現状を考えれば十分大ヒットモデルといえる状況になっている。

 ヴェゼルの現状での納期は、PLaYが1年で、ほかのグレードが半年ほどとなっている。ガソリン車はGのみで、e:HEVとなるX、Z、PLaYのなかでも、ZとPLaYが販売の中心となっている。

 なお、本稿執筆中に未確認情報ではあるものの、“PLaYがオーダーストップになるらしい”との情報が寄せられたので、さっそくホンダカーズ(ホンダ系正規ディーラー)にて確認すると、「PLaYは確かに10月中旬より(取材時)一時的にオーダーストップとさせていただきます」と話してくれた。

 PLaYだけとくに納期遅延が深刻なので、これ以上納期遅延を拡大できないとの判断があったのかもしれない。

 ホンダが発表した正式発売後1カ月での受注状況をみると、売れ筋はFFのZとなるようで(Zの販売比率は76%、FFの販売比率は81%)、販売現場で「Zの生産比率が高い」という話を聞いていたので、ホンダの読みどおりの動きになっているようである。

 ただし、予約受注の段階からPLaYに想定外の受注が入り、正式発売前から納車1年待ちという深刻な事態となっていた。そのため、長期の納期遅延を嫌い、Zを選んだというひとも少なからずいたことだろう。

ホンダコネクトディスプレイや専用となるパノラマルーフなど魅力的なオプションを多数装着したPLaYはヴェゼルの中でも特に好調のようだ
ホンダコネクトディスプレイや専用となるパノラマルーフなど魅力的なオプションを多数装着したPLaYはヴェゼルの中でも特に好調のようだ

 PLaYはFFのみとなるが、ホンダコネクトディスプレイ(カーナビ機能付き)、ETC2.0、8スピーカー(Zは6、その他は4スピーカー/ZとPLaY,はオプションで10スピーカーも選択可能)、ワイヤレス充電器そして、PLaY専用となるパノラマルーフが標準装備。オートエアコンでは左右独立温度調整可能が選べないものの(Zでは可能)、かなりの“特別感”のあるグレード。

 2トーンカラーしか選べず、内装色も明るいグレージュしか用意されていないPLaYがヴェゼルのなかでもとくに納期遅延が深刻なのは、パノラマルーフの装着など生産の都合により時間がかかっているともされる。

 だが、コネクトディスプレイ(ディーラーは、トヨタではオプションとなるカーナビも標準となると強調)や、とくにパノラマルーフの標準装備がお客さんに魅力的に映っているようである。

 ホンダの新型車の傾向としては、新型車需要期間(発売から3カ月ほど)が過ぎると、急速に販売台数が落ち着いていく。だが、納期遅延が発売以来半年経とうとするいまでも発売直後と状況が変わらないということは、引き続き多くの受注が入っているものと考えられる。

 いままでのホンダ車とは少々違う動きを見せているヴェゼルにトヨタが警戒感を持っているのかもしれない。

 カローラクロスはまだ試乗はしていないが、実車を見た感じではヴェゼルよりもう少し大きく見え、見た目の質感も高いかと思っていた。だが広汽豊田の兄弟車と同じ日本仕様の顔つきより、グローバルフェイスのほうが可愛いとは言われるものの質感は、グローバルフェイスのほうが高いように見えた。

 一方でヴェゼルは先代モデルより明らかに立派に見えるようになっている。

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