受注好調のカローラクロスと猛追する新型ヴェゼル!! 両車の人気の秘密とは!?

■カローラクロスの弱点はメーカーオプションの多さか

カローラクロスはメーカーオプションが多い。選択肢の多さは魅力にも繋がるが、同時に煩雑、複雑といったイメージも抱かせる
カローラクロスはメーカーオプションが多い。選択肢の多さは魅力にも繋がるが、同時に煩雑、複雑といったイメージも抱かせる

 再びトヨタの販売現場での話に戻すと、「9月14日発売なので、車両確保も考えて25・26日に試乗会を予定していたのですが、車両手配が間に合いませんでした」と残念そうに話してくれた。

 ヴェゼルは発売と同時に、店舗によっては試乗車を2台用意していた。しかし、これはカローラクロスの発売タイミングが部品問題の渦中だったというのが大きく影響しているので仕方ないともいえる。

 正式発売直前には“顔つきが変わる”とのメディアニュースも相次ぎ、予約段階で「顔が変わるなら実車を見てから」と態度を保留にされるケースも目立ったとのこと。

 無理を承知で言うが、14日の発売後18・19日の最初の週末にすべてとはいわないが、各エリアの主要販売拠点に試乗車が用意できれば、もっと盛り上がりを見せ、ヴェゼルを寄せ付けない、さらなる好調な販売実績につながったかもしれない。

 しかし、重ねていうがタイミングが悪かった。受注を増やせば増やす分が、納期遅延車として積み上がるだけなので、トヨタはあえて派手な告知イベントを控えたのかもしれない。

 部品問題など発売タイミングの悪さがなければ、カローラクロスがヴェゼルを販売実績で軽く引き離していたかというと、それでもカローラクロスに不安要素がないわけではない。

 それはメーカーオプションがカローラクロスには多いのである。これは何もカローラクロスに限ったことではなく、トヨタ車全般にいえることでもある。

 発売時期が近く、キャラクターが似ているのでよく比較されるトヨタアクアと日産ノートオーラでは、オーラに用意されるメーカーオプションはプロパイロット(BOSEシステムなどもセットとなる)と寒冷地仕様ぐらい。

 だからといって全体の装備内容が貧相というわけではない。アクアはメーカーオプションの設定が多く、クルマ好きなら新車購入時のオプション選びも楽しみのひとつだが、それほど興味のないひとにとっては苦痛や面倒くさいものと感じるかもしれない。

 トヨタディーラーで聞くと、「オプションが少ないというのは諸刃の剣のようなものです。『標準装備だけで装備が充実している』と喜ばれるお客様もいらっしゃいますが、『標準装備が多すぎる』と問題視されるお客様もいらっしゃいますので、その判断は非常に難しいですね」とのことであった。

 この2台は実際に試乗したが、アクアは先代に比べHEVシステムの進化もめざましいし、走行性能も向上していたが、ノートオーラはe-POWERシステムについては販売現場ですでに、「実用性能ではTHS(トヨタのHEVシステム)にはかなわない」と白旗あげるセールスマンが多い。

 乗った印象はあくまで私見だがアクアのほうが良かった。しかし、購入車種のセレクトという点ではノート オーラが圧倒的にシンプルで買いやすい印象が強かった。

■標準装備の豪華さで一強のトヨタと勝負!

ヴェゼルにもいえることだが、トヨタ以外のメーカーは標準装備の豪華さでトヨタに挑んでいるフシがある
ヴェゼルにもいえることだが、トヨタ以外のメーカーは標準装備の豪華さでトヨタに挑んでいるフシがある

 この傾向はヴェゼルとカローラクロスでも同じように見える。ヴェゼルは全体で見てもメーカーオプションは少なく、さらにPLaYで見るとマルチビューカメラと、8から10スピーカーへ増やすというものぐらいしかない。

 またHEV(ハイブリッド車)では人気の高いPTCヒーターは、ヴェゼルではe:HEVの4WD車には標準装備となっている。
※PTCヒーターは半導体を用いた暖房装置で、電気自動車やプラグインハイブリッド車などの暖房用熱源として装備される。

 一方でカローラクロスを見ると、オプション選択しても最大6スピーカーにしかならず、標準装備では2もしくは4スピーカーとなる(ヴェゼルは4、6、8スピーカーがグレードによって標準装備)。

 また前述したPTCヒーターはハイブリッド車に寒冷地仕様とセットでオプションとなっている。パノラマルーフはZとSにメーカーオプション設定されている。

 メーカーオプションに関する考え方は千差万別。商談時にどれを選ぶのか面倒に感じる人もいる。しかし、ただそれだけではなく、メーカーオプションが多くなればそれだけ車両価格に反映されコストアップにつながることもあるのだ。

 標準装備品を少なめにすればメーカー希望小売価格に割安感を見せることができるが、実際に商談に入り必要な装備をオプションでチョイスしていくと、だいたい「結構な金額になるんだね」ということになる。

 ウエブ上の各見積りシミュレーションコーナーで、ヴェゼルはFF e:HEV Z、カローラクロス FF HEV Zをそれぞれまったく同条件ではないものの、限りなく近い条件でシミュレーションしたところ、約8.5万円ヴェゼルのほうが支払総額で安くなった。

 トヨタ一強時代のなか、トヨタ以外のメーカー系ディーラーへ行くと、「トヨタさんはオプションが多いですけど、うちは標準装備品だけで装備内容は充実しています」とアピールしてくるセールスマンが目立つ。

 装備内容だけではなく、繰り返すが新車購入時の面倒なオプション選びを行う必要がないという面では魅力的に映るお客さんもいるだろう。

 「スズキでは軽自動車でも、ヘッドアップディスプレイが標準装備されるモデルがあります。実際購入したひとに聞くと『軽自動車なのにこんなものまで標準装備でついてきた』と、喜んでいる人も多く見受けられます」とは前出事情通。

 「重箱をつつくような話をしている」と感じるひともいるかもしれない。トヨタの販売力をもってすれば吹けば飛ぶような話と思うひともいるかもしれない。ただし、トヨタ以外のメーカーでは、「標準装備品を奢っている」という話は最近よく聞く。

 トヨタ以外のメーカーのトヨタ一強への対抗策が“装備品を奢る”ことなのかもしれない。

次ページは : ■G“X”は安さをアピールするためのダミーグレードなのか

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