マツダが突如として来年2022年からの新型クロスオーバーSUVの5車種新規開発を発表した。現在のマツダはSUVモデルが主力となりつつあるが、今後もその傾向をより一層強めていくことを自ら打ち出したのだが、そうなると気になってくるのはコンパクトカーやセダンといった背の低いモデルたちの今後だ。
2019年に第7世代モデルとなったCセグのマツダ3以外で該当するのはマツダ2、そして、マツダ6となる。こうしたモデルはどのように変わっていくのか、国沢光宏氏が分析する。
文/国沢光宏、写真/ベストカー編集部、マツダ
■怒涛のSUV新規攻勢の裏側に潜む「いったいどうなるの?」というギモン
マツダが怒濤のSUV攻勢を打ち出した。なんとCXシリーズとして50から90まで5車種を2022年からリリースするという。内容的には「凄いね!」なのだけれど、3つほど「どうなるんだろう?」という点がある。今までに存在しないCX-70と、ロータリーエンジンを使うPHV、そしてコンパクトカーを含む乗用車の商品群だ。
まずCX-70から。CX-50はカローラクロスのマツダバージョンだとわかっている。CX-60についていえば、99%の確率でBMW X3を強く意識したクラスの後輪駆動車だ。そしてCX-80がCX-8のようなCX-60ベースのロングボディ&3列シート車。CX-90も現在のCX-9の実質な後継モデルで間違いなし。気になるのがCX-70です。
順当に考えると主としてアメリカで販売されるCX-90のショートボディ&2列シートということになる。だとすれば、アメリカ市場は250万円級になるだろうCX-50と、500万円以上になることは間違いないCX-70との価格差が大きく開いてしまう。350万円級のCX-5を継続販売する以外ないと思う。けれどCX-5の今後はまったくアナウンスされていない。
■ロータリーエンジンのPHVはどの車種に搭載されるのか
ここでPHVが出てくる。ロータリーエンジンを発電機として使うPHVはFFなので、今までのプラットフォームを使うことになるだろう。CX-60から上のサイズのクルマは、いわゆる「ラージ」と呼ばれる直列6気筒エンジンを積む後輪駆動モデル群。そしてPHVがどのくらいのボディサイズになるか、何の発表もしていない。
Cセグメントだとハイブリッドもラインナップ可能なカローラクロスとバッティングする。MX-30についていえば世界規模で厳しい評価を受けており、PHV化しても赤字がかさむばかり。藤原副社長体制下のマツダを見ると、あえて「ほかのメーカーが作っていないクルマ」を狙い、MX-30に搭載してくる可能性ありますが。
順当に考えればCX-5の後継モデルのなかにPHVを入れ込むという商品戦略ながら、もはやCXシリーズの番号が残っておらず(笑)。CX-40はおそらく中国のCX-4の後継になるだろうし、数字的にCX-50より小さいクルマになる。となればMXシリーズか? 観音開きのドアだと使い勝手悪いです。こういった予想をしているのは楽しい。
■マツダ2は現行モデルで絶版になる!!?
マツダがどういった車種戦略を立てているかなど、多くの人からすれば関係ないこと。でもクルマ好きからすれば「まだ発表されていないクルマ」をあれこれ考えるのってワクワクする。ということで3つ目となる「乗用車群の今後」だ。これまたみごとに何のアナウンスもされていない。マツダ2などは現行モデルで絶版になるという話まで出ている。
実際、スバルはコンパクトカーをやめることで会社全体の収益率がググッと上がった。マツダ2を見ていると、あまり好調といえず。欧州はヤリスをベースにしたOEM車にするし、アメリカの販売だって厳しい。タイなどで生産継続することも考えられるが、いずれにしろやがて絶版の方向だと考える。次期コンパクトカーは存在しないだろう。
■直列6気筒エンジン搭載のマツダ6はどうなる?
乗用車群はどうなるか? ラージの乗用車モデルについていえば、間違いなく開発を進めていると思う。マツダが一番意識しているBMWで言えば、次期マツダ6は3シリーズと5シリーズの中間くらいの車格感になると考えていい。価格を同じようなエンジンを積む3シリーズにかぎりなく近づければ割安感も出てくるだろう。
日本での価格イメージだと、BMW X3を意識したCXー60が500万円前後。3シリーズを意識するマツダ6の後継モデルで450万円といったくらいか。その下はどうなる。SKYACTIV-X世代のマツダ3についていえば、2019年5月の販売開始とあり、常識的に考えたら10年くらい作り続けると思う。このクラスは残る。
まぁまぁ売れているCX-30もSKYACTIV-X世代のため、ある程度の販売規模はキープできるかもしれない。とはいえ販売台数は伸び悩んでしまっている。鳴り物入りで登場してきたマツダ3の圧縮着火エンジンを含め、厳しい状況。販売台数次第で現行モデルを最後にフルモデルチェンジしないという判断もあり得る。
マツダファン的にはスバルが乗用車ベースで作っているXVやレガシィアウトバックの如く、マツダ6やマツダ3のボディをそのまんま使ったクロスオーバーなど強く希望したいけれど(マツダ6のクロスオーバーモデルなどは絶対かっこいいと思う!)、これまた藤原副社長が「ほかのメーカーと同じようなクルマは絶対に作らない」と公言しているため意地でもやらないだろう。
マツダの予想、難しいです。
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