10月29日、ついにトヨタが新型EV「bZ4X」の詳細を発表。トヨタ肝入りの電気自動車だけに、大きな注目が集まっている。その詳細でいっそう目をひいたのが、オプション設定されるソーラーパネルの性能だ。
まだ、電気自動車そのものすら普及していない現状で、ソーラー発電というと夢物語のようにも聞こえるが、リリースには予想を超える性能が記されていた。果たしてそこから伝わってくる本気度とは?
文/高根英幸、写真/TOYOTA
■プリウスPHVの推定1.8倍! 高い発電能力を持つbZ4Xのソーラーパネル
トヨタがいよいよ本気を出した。そう思わせるほど、bZ4Xは充実した内容だと感じさせるEVだ。EV専用のプラットフォームe-TNGAや、航空機のような異形ステアリングを採用するステアバイワイヤシステム(中国向けから採用らしい)など、気になる仕様が目白押しである。
明かされたスペックのなかでも、まず気になったのは装着車を設定するというルーフソーラーパネルの性能だ。社内の試算とはいえ、1年間で1800kmも走行できるだけの電力を発生することができるというのだから。
最近は年間の走行距離がどんどん短くなっている傾向にある。日本のオーナーの平均値が1年で7000kmと言われているから、都市部で遠出をしないドライバーであれば年間5000kmも走らないケースも多いだろう。
そのうち1800kmもルーフソーラーパネルの発電だけで賄えるとしたら、凄いことだ。バッテリーEV(BEV)の究極的なスタイルは、ボディにまとったソーラーパネルの発電だけで電力を賄って走行できることだから、確実にその方向へと進化しているように感じる。
トヨタ広報部からは「bZ4Xは発売前のクルマなので、公表されているデータ以外は提供することができません」と言われてしまったので、ここから先はあくまでも試算された数字から推測するしかなさそうだ。
現行のプリウスPHVにもルーフソーラーパネルはオプション設定されている。その能力は1日平均で2.9km走行分の電力を発電できると謳われている。つまり年間にして1058kmだから、bZ4Xはその1.8倍もの発電量を誇ることになる。
プリウスPHVのルーフソーラーパネルはオプションで、その28万円という価格は、クルマの寿命まで発電しても電力価格と比べても元は取れないことはわかっている。
パナソニック製でセル自体は住宅用のソーラーパネルと同じものを使用しているらしい。変換効率は19.1%と、ソーラーパネル全体で見れば20%前後のものもある他社製と比べて、特段高性能という訳ではない。
しかし信頼性と耐久性という点ではパナソニック製は抜群の評価がある。トヨタが採用を決めたのも、こうした品質面だったようだ。
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