■プリウスPHVのソーラーパネルと比べ、およそ2倍の面積
プリウスPHVのルーフパネルはデザイン上、小さいもので、そこに敷き詰められるソーラーパネルも割と小さいものになり、画像から推測するとサイズは0.8m四方といったところ。つまり面積はおよそ0.64平方メートルだ。
それに対してbZ4Xのルーフパネルは平坦なだけでなく、かなり大きい。画像から推測すると縦1.2~1.3m、横1.1m前後と見られ、面積は1.32平方メートルだ。ということは、単純にサイズで2倍近い面積を稼いでいる。これなら1.8倍の発電量も納得がいく。
ちなみにソーラーパネルの発電量は日本の場合、1kWのシステムで1年間に1000kWhというのが目安になっている。電費を6km/kWhとして、ソーラーパネルによる発電で1800km走れるということは、300kWhの発電量を見込んでいるということになる。
パナソニックのHITの場合、モジュール1枚の出力が245Wなのでおよそ250kWhの発電量と考えることができる。そしてモジュール1枚の面積は1.2平方メートルだから、それより1割は大きいソーラーパネルが与えられたbZ4Xの場合、300kWh前後の発電量を見込むのは合点がいく。
発電能力として考えれば、最新のソーラーパネルを導入したほうが1~2%はさらに高い数字が見込める。しかし実際に日光を浴びて発電することを考えると、耐熱性が想像以上に問題になるのだ。
ソーラーパネルの発電能力を示す項目で、出力温度係数という性能評価がある。これは温度上昇によって、どれだけ発電効率が低下してしまうか、というもので、数字が少ないほど安定して効率の高い発電を行なえるものだ。
そしてパナソニックのHITは-0.258%/℃という、量産としては世界最高水準の出力温度係数を誇るのである。
据置き型の場合、ソーラーパネルが熱くなってしまうと、発電能力が低下してしまうため、水をかけて冷やすという対策を採ることもある。
実際にソーラーパネルへの散水によって表面温度を10℃下げると発電効率が1%向上した、というデータもあるのだ(ということはカタログ値より実際の性能低下は少ない、ということにもなる)。
しかしクルマのルーフに搭載した場合、温度上昇の際に水をかけるという仕組みを取り入れるのは現実的ではない。
雨が降ってもいないのにフロントウインドウに水が流れてくるのも困るし、水のタンクやポンプによる重量増、駐車中のソーラーパネルの温度管理などシステムは複雑になり、コストや信頼性にも影響が出る。
■近所の買い物程度なら充電ステーションが不要になる!?
こうして考えると、トヨタが高価でもあえてパナソニック製のソーラーパネルを採用している理由が見えてくる。bZ4Xのソーラーパネルは供給元は不明だが、もし他社製でも同等の性能を確保していることは間違いない。
天気の良い日は、クルマを外に止めておくだけで充電され、近所の買い物にいく程度の電力なら、1日で回復させることができる。
走行中の電力消費にはソーラーパネルの発電量ではまだまだ追い付かないが、最大で10km走行分程度の電力は貯められるから、2、3日に1度の買い物程度の電力なら、ソーラーパネルだけで賄うことができそうだ(ただし晴天が続けば、だが)。
クルマを走らせた後に、日なたに置いておくだけで減った蓄電量が復活するなんて、今までの常識からすると考えられないとは思わないだろうか。bZ4Xのルーフソーラーパネルは日本の都市部のドライバーにとって、非常に便利な装備になる可能性がありそうだ。
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