クルマの買い時と言われる「決算期」、「ボーナス商戦」、「初売り」だが、それぞれに特徴がある。そのなかで、初売りは値引きが少なめと言われることも多いが、本当にそうなのだろうか。
もうすぐやってくる初売りの時期に、ベストな買い物ができるよう、本稿ではディーラー情報に長けた筆者が、最新の初売りの動向や特徴を解説し、初売りを徹底解剖する。
文/佐々木亘、写真/Adobe Stock、編集部、メイン写真/rh2010-Stock.Adobe.com
【画像ギャラリー】2022年スズキの「初売り」 目玉となる新型車は?(9枚)画像ギャラリー初売りの値引きが少ないは本当か? 決算期との違いは「景品」
「値引き」の概念を、車両本体値引きだけに限ってしまえば、初売りは値引きが大きくなる時期ではない。中間・期末決算期や、ボーナス商戦の時期のほうが、車両本体値引きは拡大しやすい傾向にある。
では、オプションを含めた値引き(割引)総額を考えるとどうだろうか。この場合は、初売りで有利な条件が出ることが多いだろう。
決算期と初売りの大きな違いは「景品」だ。決算期のセールでは来場者・契約者に対する景品などは少なく、値引きの拡大で契約数を増やしていく傾向がある。対して初売りは一種のお祭りだ。来場者プレゼント、ご成約プレゼントのほか、オプション総額〇万円プレゼントや、今だとナビ・ドラレコセット、スタッドレスタイヤセットをプレゼントといった、「モノ」によるサービスが増えるのが初売りである。
なかでもディーラーオプションのプレゼントが多い。ここは販売店で割引の裁量を大きく持っている部分なので、お得なセット販売を行いやすいのだ。プレゼントを含めた割引総額は、決算期の値引きを大きく上回ることが多い。
初売りと決算セールの違いを理解し、自分にとってどちらがお得なのかを見極めて、購入検討をしていこう。
初売りで新車が「買い」なケースと決算期まで「待ち」なケースは?
初売りでクルマを購入するべきか否かは、装着するオプションの種類や数で変わってくる。装着するオプションにナビ、ETC、ドライブレコーダーが入っていて、その他にも注文するオプションが多くあるというユーザーは、迷わず初売りで買ったほうがいい。
逆にオプションはほぼ装着せず、ナビやドラレコなども社外品を自分で選ぶという方は、決算セールを利用するほうがいいだろう。
初売りで販売される新車には、この時期特有の「値組み」という仕組みが採用される。従来であれば、車両本体金額から何%、オプションから何%という割合で値引き額が決まるが、初売りの時期はオプション品とクルマをセットで、値引きをパッケージングするのだ。
「福車(ふくぐるま)」などと呼ばれるこの仕組みを説明する。
■アルファード SタイプゴールドII(車両本体424万円)
・装着オプション:フロアマット・サイドバイザー・盗難防止ナンバーフレーム・ドライブレコーダー・ボディコーティング・下回り錆止め、T-Connectナビ
・オプション総額/47万3000円
・合計金額/471万3000円
このようにクルマの仕様を販売店があらかじめ決めておく。この仕様の場合に初売りでは31万3000円値引きして、440万円ピッタリで提供しますというものだ。セットオプション値引きのようなものなので、仕様を外すと適用されないこともある。
装着率が高く、販売利益が確保できるオプションを組み込んで、普段ではできないオプション値引き率を採用するのだ。セットされるオプションを装着しようと思っていたユーザーにとっては、非常にお得な話である。
こうした特別割引に加えて、新車成約時に「ナビ装着でオプション10万円分プレゼント」や「メンテナンスパックプレゼント」といったプラスアルファの特典を受けることができる。また、クルマとはまったく関係のない地場産品や高級お取り寄せ品などをご成約特典としてプレゼントするディーラーが多い。
値引きではなくプレゼントが多いのが初売りだ。これらのモノを、お金(値引き)に換算すれば、この時期ほどお得にクルマを買えるタイミングはない。
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