マナーとして普及も本来はNG? サンキューハザードの利点と欠点

マナーとして普及も本来はNG? サンキューハザードの利点と欠点

 後続のクルマに道を譲ってもらった際、アイコンタクトや会釈、手で合図を送る代わりに、ハザードを点灯させて感謝を伝える「サンキューハザード」。マナーとして定着しつつあるサンキューハザードだが、実は法律で定められた、ハザードランプ本来の使い方ではない。

 サンキューハザードの利点、そして欠点とは!? また、サンキューハザードはやるべきなのか、それとも不要なのだろうか。 

文/吉川賢一
アイキャッチ写真/©hanack – stock.adobe.com
写真/Adobe Stock

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利点はやはり、ドライバーが見えない場合でも感謝を伝えることができる

 サンキューハザード賛成派の筆者としては、反対の意見があることに驚いた。サンキューハザードの利点と欠点を考える前に、まずは、肯定派と、否定派の意見をみてみよう。

●肯定意見

・会釈や窓を開けての合図だと、相手に見えないかもしれない(トラックだと手をあげても相手のドライバーには見えない)ので、サンキューハザードのほうが見えやすくていい
・道を譲ってもらったときにお返しをしないと、トラブルにつながる
・リアウインドウにスモークを付けているので、会釈や手合図だと相手からみえない
・自分が道を譲ったとき、サンキューハザードをしてくれると嬉しいから、自分もやる
・「サンキューバザードはマナーだ」と教わった

●否定意見

・ハザードは危険を知らせるもの。異なる目的で使うことでかえって事故を招く要因にもなりかねない
・「サンキュー」を伝えたいならば、手を上げるか、アイコンタクトをしてかるく会釈すればよい
・サンキューハザードを出せば無謀な割込みをしてもOK、と考えているドライバーがいる
・日本ではサンキューハザードが通用するが、海外でサンキューハザードをやると驚かれるし危険
・道を譲ったことくらいで、わざわざハザードランプのスイッチを操作するのは危ない

 やはり、サンキューハザードの利点は、「後続のドライバーから見えない角度からでも、ありがとうを伝えることができる」だろう。少し前はクラクションを「ピッ」と短く鳴らして、感謝をつたえることも多かったが、最近は、ハザード点灯に置き換わってきているように思う。

否定派の意見も一理ある

マナー化しつつあるサンキューハザードがトラブルの原因となることも(©Paylessimages – stock.adobe.com)
マナー化しつつあるサンキューハザードがトラブルの原因となることも(©Paylessimages – stock.adobe.com)

 では、欠点はなんだろうか。否定派の意見では、「サンキューハザードすれば無謀な割込みをしてもいいと考えているドライバーがいる」というのは、確かに「ありがとう」といえば何でも許される、と考える人はいるだろう。無謀な割込みという危険で不快な経験をしたあと、サンキューハザードをされて、さらに不快に思っているわけで、サンキューハザードという風習のせい、とはいいきれないように思う。

 また、日本特有の風習であることも違いないが、海外ではともかく、日本でやる分には、そこまで海外に合わせなくてはならない必要性は少ないように思う。

 ただ、「道を譲ったことくらいで、わざわざハザードランプのスイッチを操作するのは危ない」というのには、一理あるように思う。たとえば、ドライバー同士が確認できる角度で、手を挙げたり、会釈をしたりして感謝を伝えたのに、そのあとサンキューハザードをする必要はないのではないだろうか。

 すでに感謝を伝えたのに、マナー化しつつあること。それによって「ハザード点灯」という一瞬前方不注意となる動作を、合流間もない運転が不安定なときにドライバーがやらなくてはならない、ことにあると思う。

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