ここ数年、新車の納期が長い。最近ではランクルの「4年」という異常な納期目安をトヨタが発表したことが、大きな話題となった。それ以前に、トヨタラインナップの中で長い納期となっていたのがRAV4 PHVだ。
発売当初すぐに受注停止に追い込まれたRAV4 PHVは、今どうなっているのだろうか。販売店を取材して分かった、RAV4 PHVの納期に関する最新情報をお伝えする。
文/佐々木 亘、写真/TOYOTA
■大々的な受注停止発表から静かに復活したRAV4 PHV
2020年6月8日に発表されたRAV4 PHV。月販300台の予定でスタートしたのだが、1か月と経たないうちに、トヨタは注文を一時停止した。理由は「新規搭載バッテリーの生産能力を、大幅に上回る注文があったため」としている。
年間に3,600台前後の生産枠を見込んでいたRAV4 PHVが受注停止になった。これは、発表から注文一時停止までの約1か月の間に、年間生産枠が全部埋まったと考えたいところだが、この可能性は低い。
受注停止にまで追い込まれた背景には、コロナ禍によるリチウムイオンバッテリー製造数の不透明さも一因だが、PHEVやBEVに対して交付される補助金の存在が大きかったのではないかと筆者は考える。
購入ユーザーの多くは、プラグインハイブリッドの補助金を頭に入れて購入をしていた。国の予算は年度ごとに組まれており、年度を超えることで、交付される補助金の金額や交付条件が変わる可能性があるから、注文後の大幅な遅れは許されなかったのだ。
こうしたことから、トヨタは年度内に生産・登録ができる数を早急に見定め、その上限値に達した段階で受注停止の判断をした。受注停止が解除されたのは2021年の3月、受注停止から約8か月後のことだ。
受注再開後は、一時的ではあるがRAV4 PHVの納期は大幅に短縮された。国の補助金政策が、一台のクルマの生産体制に大きな影響を与えた一例である。
■落ち着いた納期も、当初の状態へ逆戻り
2021年12月に、一部改良を行ったRAV4 PHV。メインはベース車両RAV4のAdventureグレードにHEVを追加した部分になるが、PHVのヘッドライトデザインも、このタイミングで変更されている。
しかしながら、2021年8月頃から、6か月以上の納期が常態化しているRAV4 PHVでは、改良前の注文自体が捌き切れていない状態だ。2022年2月7日現在で、昨年8月~10月頃に注文をもらった新車を、やっと納車し始まったところだと、取材した販売店の営業マンは話してくれた。
さらに、こうした先の見えない長納期を危惧してか、注文受付自体を停止している販売店もあった。
2月1日からRAV4 PHVは一時オーダーストップとなっており、順次新型の生産に移行するようだ。販売店では納期を案内できず、先行き不透明な状態で受注残を増やしたくないと、注文受付を行っていないお店も出てきている。
納期案内があったお店でも、2022年の2月に頼んで、納車は2022年10月以降だという。生産まで約8か月かかり、RAV4 PHVは受注停止をした頃の状況に戻ってしまった。
2022年2月も半導体不足等で、工場の稼働停止は相次いでおり、今後もRAV4の生産ラインである高岡工場第2ラインが、いつ止まるかわからない。(2月は12日と19日の稼働停止は決まっている)
工場が止まれば、自ずと生産台数は少なくなるため、納期は延びる。注文時に目安とされていた納期が延びることはあっても、縮まる可能性は少ないため、今後の見通しを立てると、RAV4 PHVに関しては、約1年弱待つつもりで注文したほうが良さそうだ。
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